平均1300万円を奪うSNS投資広告型詐欺、老後資金を増やしたい心理につけ込む手口と放置の構造とは

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次に、LINEのメッセージや電話がかかってきて、さまざまな成功者の話を教えられる。多くの場合はLINEグループで数週間にもわたって『投資指導』を受けるのだそうだ。続いてニセ投資プラットフォームに誘導されあたかも利益が出たような体験をさせられる。疑似的な成功体験の後「今がチャンス、この後は下がるフェーズになるから今しかない!」と射幸心を煽って、大量の投資をさせる。

SNS広告から、振り込み被害に至る流れ
SNS広告から、振り込み被害に至る流れ。バナー広告やDMから始まり、LINEでの投資指導を経て、振り込みで実際の被害に至るケースが多いようだ(画像:DD2030)

そして、最終的に資金は戻らなくなる。

最初は、「ちょっとのぞいてみようか」ぐらいだったのが、どこからか熱くなってしまい、「成功」「大儲け」への思いから逃れられなくなってしまう。実に巧妙な仕組みが構築されているのだ。

詐欺広告でも広告収入は入る

警察庁の発表による被害総額は1274億円、認知件数は被害届があった人だけで9538人。そして、驚くべきことに1人あたりの平均被害額は約1300万円。長年かけて貯めた老後の生活資金を根こそぎ奪われて、困窮する人も少なくない。

警察庁が明らかにした令和7年度の被害実態
警察庁が明らかにした令和7年度の被害実態。1人あたりの平均被害額が約1300万円というのに驚かされる(画像:DD2030)

1300万円も盗んだら重大な犯罪だ。必ずやつかまりそうなものだが、詐欺は減らないどころか増えている。また、一方で、FacebookやInstagram、YouTube、Xなどのプラットフォームには堂々と広告が出ている。どういうことなのか?

まず、オンライン広告を明確に規制できる制度がなく、実効的な対処が難しいのだそうだ。消費者庁では実体がないサービスの広告は景品表示法の範疇ではカバーし切れない。警察庁にはプラットフォームを規制する権限がない。総務省には情報流通プラットフォーム対処法という法律があり、通信としての観点ではプラットフォーム規制を管轄しているが、事前審査や違法性のある広告に対処する法的根拠がない。そして、金融庁では詐欺に利用された口座の凍結などの対策ができるだけ。つまりはサイトを表示するだけ、LINEをやりとりするだけでは違法性がないということになる。最後にお金が返って来なくなった時点で詐欺は成立するが、その時にはもう連絡がつかない。犯罪集団の拠点は東南アジアなどの海外にあり、現地の権力者を収賄で抱き込んでおり、捜査摘発は極めて難しい。

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