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ドラクエXにAIバディ「おしゃべりスラミィ」導入、"攻略ではなく友達"の発想が示すゲーム体験と運営モデルの転換

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  • 石井 徹 モバイル・ITライター
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堀井氏はドラゴンクエストを「一冊の本」のように捉えている。固定されたメッセージが入っていれば、プレイヤーは「ここは遊んだ」と区切りをつけられる。しかし村人全員にAIを搭載すると、いつまで話せばいいのかわからなくなり、遊び手の負担が大きくなりすぎる。際限のない会話は、ゲーム体験を消耗させてしまうという考えだ。

「じゃあドラゴンクエストにAIを入れるとしたら、どうすればいいのか。その一つの回答が今回のおしゃべりスラミィになる」と安西氏は語った。

「攻略サイトより友達に聞きたい」

安西氏にとって、スラミィの原点は自身のゲーム体験にある。「昔ドラクエを遊んでいたとき、次にどこ行けばいいかわからなくなって、友達に聞いたことがある。攻略サイトを見なくても、ネタバレしない範囲でちょうどいい回答をしてくれる友達がいたらどんなに幸せか」。

その先に安西氏が思い描くのは、オンラインゲームの中でAIとプレイヤーが自然に共存する世界だ。

「オンラインゲームを遊んでいるとき、目の前のキャラクターの中の人がどういう人かは考えない。性別もフリーだし、人間としての究極の自由だ。ここにAIが入ってもいいと思う」。安西氏はそう話した上で、「一緒に遊んで『じゃあね』と別れた時に、『君AI?』と聞いたら『うん』と答える。そんな未来が来るんじゃないか」と続けた。

ただし「一足飛びにそこまで行くと怖いと思う人もいる。AIとどう接したらいいのか、準備ができていない人もいる」とも述べ、段階を踏んで進める考えを示した。おしゃべりスラミィは、その階段の一段目という位置づけだ。

スラミィ自身も衣装を変え、プレイヤーに感想を求める(写真:筆者撮影)

開発の経緯について安西氏は、当初はAI活用の具体的な検証を進めていたわけではなかったと明かした。たまたまGoogleの担当者と会う機会があり、「ドラクエXでAIをこう使いたい」という話をしたのがきっかけだったという。Google Cloud側はゲームにおけるAIの役割を「倒すべき敵」から「プレイヤーの相棒(バディ)」へ転換する構想を掲げていた。安西氏が考える「友達」の理念と重なり、協業に発展した。

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【「ゲーム開発においてAIはアイアンマンのスーツ」】

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