高市政権の「食料品消費税ゼロ」政策の危険度 日本の国力衰退で危惧される今後の経済シナリオ
そこで政府は、どのような施策を講じたでしょうか。1つは、「新円切り替え」です。国民に一度、旧円をすべて預金口座に入れさせて、引き出すときに新円に切り替えるのです。そして、引き出しに限度額を設けて市中に流通する通貨量を減らし、インフレを抑えようとしました。
もう1つは、現金のほとんどを新円切り替えのために預金にさせた上で、国民の現預金、債券、不動産などの資産に課した「財産税」です。税率は財産に応じて20〜90%に設定され、富裕層はほとんどの資産を国に納めなければならなくなりました。これはインフレの抑制だけでなく、戦時中に発行された大量の国債や復興債を償還するための原資を調達する目的もありました。
現在の日本も膨大な財政赤字を抱えています。今後、財政破綻するかどうかは分かりませんが、万が一、戦後と同様の状況に陥った場合、当時のように国民から強制徴収する制度を設ける可能性もゼロではありません。その点では、国民の財産が毀損することはあっても、国は破綻することはないのではないかと思います。
ただ、今は多くの人が資産形成のために海外に投資するようになりましたから、財産税を課したとしても、戦後と同じように国民の資産を没収するのは難しいかもしれません。
ドル換算で日本のGDPは20%の落ち込み
最後に着目すべきは、日本の国力低下の問題です。コロナ前の17〜19年度における日本の名目GDPは約570兆円で推移していました。当時は1ドル=110円前後でしたから、ドル換算で5兆ドル強に相当します。
現在はどうでしょうか。25年10-12月期の名目GDPは668.9兆円。日本円では大幅に伸びているように見えますが、1ドル=150円で換算すると4兆ドル強へと落ち込んでいます。実に約20%もの価値の目減りが起きているのです。
世界の主要国と比較すると、日本経済の低迷はいっそう際立ちます。バブル崩壊直後の90年、アメリカのGDPは約6兆ドル、日本は4兆ドル弱でした。それが現在、アメリカは約30兆ドルへと成長した一方、日本はほぼ横ばいが続いています。また、10年に日本を抜いた中国も、当時の約5兆9000億ドルから約20兆ドルまで伸びているのです。



















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