高市政権の「食料品消費税ゼロ」政策の危険度 日本の国力衰退で危惧される今後の経済シナリオ

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もしこのまま財政赤字が膨らみ、財政危機に陥った場合、どのような事態が想定されるでしょうか。過去の事例からそのリスクについて考えてみます。

09年、ギリシャは財政危機に陥りました。同国はEU(欧州連合)に加盟するため、財政条件である「年間の財政赤字が対GDP比3%以内」「累積政府債務残高が同比60%以内」を満たすため、自国の抱える財政赤字を隠蔽したのです。

当然のことながら、そのままでは済みませんでした。09年10月の政権交代をきっかけに、この不正が発覚。市場の信用を失ったギリシャ国債は暴落し、金利が急騰、財政破綻寸前まで追い込まれました。

もし、ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥れば、国内経済が混乱するだけでなく、ユーロ圏全体に連鎖して、欧州の金融システムが崩壊する恐れがあります。EUやIMF(国際通貨基金)は危機を封じ込めるため、緊縮財政を課した上で債務を半分に棒引きするなどの緊急金融支援を実施しました。

これによってデフォルトは免れたものの、失業率の上昇や年金の削減、公共サービスの低下などに見舞われ、国民生活は深刻な不況にあえぐこととなりました。

日本の財政危機はギリシャの比ではない

なお、日本が同様の財政危機に陥った場合、ギリシャ以上の混乱が予想されます。日本国債の9割は国内で保有されており、その半分弱を日銀、残りの多くを国内金融機関が占めているからです。ギリシャのように債務を棒引きすれば、救済されるどころか国内の金融システムそのものが崩壊しかねません。

実は、日本にも財政危機の歴史があります。太平洋戦争直後、損失した国富(国民全体が保有する資産から負債を差し引いたもの)は、現在の価値で約800兆円にも膨らんでいました。さらに、戦費の総額は日中戦争開戦当時のGDP比で8.5倍。現在の名目GDPは約670兆円ですから、約5700兆円に相当する規模になります。

当然のことながら、このような莫大な金額は税金では賄いきれませんから、国債を発行して調達しました。さらには復興にも資金が必要でしたから、当時の政府は多額の復興債(復興金融債券)を発行し、資金を確保したのです。

その結果、国内ではすさまじいインフレが起こりました。1934〜36年の平均と比べると、46年8月は21倍、48年6月には172倍に達しました。まさにハイパーインフレと言えます。

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