高市政権の「食料品消費税ゼロ」政策の危険度 日本の国力衰退で危惧される今後の経済シナリオ
25年10-12月期の日本の名目国内総生産(GDP)は年換算で668.9兆円。これに対し政府債務残高は約235%に達しており、主要先進国の中でも突出して厳しい状況にあります。なお、先進国の中で2番目に財政赤字が多いイタリアの政府債務残高は、対GDP比で約137%。時々、「財政の崖」問題がクローズアップされるアメリカでも、約120%です。他国と比較すると、日本の財政の深刻さが際立ちます。
こういった状況の中、自民党を含む多くの政党が「消費税減税」を公約に掲げました。もしこれが実現すれば、どのようなことが起こるのでしょうか。
消費税は社会保障の重要な財源です。財源を確保できなければ、年金、医療、介護のレベルを下げざるを得ません。仮に、不足分をさらなる国債(借金)で賄おうとすれば、長期金利が跳ね上がり、経済全体に深刻なダメージを与えるリスクがあります。一方で、財源にあわせて社会保障を縮小すれば、国民の生活は直接的な打撃を受けることになります。
イタリアで起きている医療サービスの劣悪化
先進国で第2位の財政赤字を抱えるイタリアの医療事情を例に挙げてみましょう。ドイツやデンマークなどの北欧諸国は、厳しい財政規律を守ることで、健全な財政を維持しつつもほぼ無料の医療を両立させています。対照的に、イタリアは厳しい財政状況下でポピュリズムが台頭し、無理に医療費を無料にしてしまいました。
その結果、何が起きたでしょうか。医療サービスの劣悪化です。イタリア在住の知人が病院で点滴を受けたところ、治療後も数時間放置され、結局、自分で点滴を外して帰宅したといいます。こういった状況を受けて富裕層は有料の私立病院やクリニックに流れ、公的医療は質の大幅な低下に悩まされているのです。
これは決して遠い国の極端な事例ではありません。日本でもすでに医療サービスの低下は始まりつつあります。厚生労働省は医療機関に向けて、医療の供給削減や病院の統合を提案しているのです。
厚労省は、表向きには「人口動態の変化に合わせた効率化」と説明していますが、その背景には、膨れあがる医療費を抑制するために「医療サービスの質と量」を調整せざるを得ないという切実な事情が見え隠れします。日本の財政の問題は、もはや数字上の議論ではなく、国民の生活にも確実に影響し始めているのです。



















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