「冒険する人が好きだ」話題の動画の裏側に2人のエンジニアによる「三菱らしさ」の伝承があった

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モータースポーツに関わる話が会社から来たとき、池田さんは「半日くらい悩んだが、やらない選択肢はなかった」と当時を振り返る。

「何もできない私で本当にいいのだろうか」と不安いっぱいのスタートだったというが、23年12月からACXR向けエンジン開発にスカウトされ、当初は通常業務と兼任で、25年4月からは専任でACXR向けエンジン開発担当に抜擢されることになる。

アジアクロスカントリーラリー(AXCR)を走る「トライトン」(写真:三菱自動車工業)

では、もう少し踏み込んで幸田さんに聞いた。

「あなたは、エンジンとどんなふうに対話をしていますか?」

エンジン開発機器(エンジンベンチ)では、「試験中は1馬力でいいから性能を出してくれ」「その1馬力を出すためのヒントを何か教えてくれ」「駄々をこねて困らせないでほしい」、ラリーの現場では、「ラリー中はいい子にしていてくれ」「最後まで走りきってくれ」とエンジンを撫でて、磨いていました」という。

そして、アウトソーシングをまったくせず、自社開発する過程ではずっと、「エンジンの中に入りたい」と思ってきたと話す。燃料、空気の流れ、そして燃焼をエンジンの中で見てみたいという思いからだ。

最後に勝負を決めるのは「人の力」だ

こうした表現を聞くと、AI(人工知能)によるデータ解析やデータ標準化などの視点で、若い世代からは「昔ながらの古臭いやり方」と言われかねないのではと、筆者はちょっと心配になった。だが、池田さんはそうは感じていない。

「(幸田さんの)トラブルシューティングに対する引き出しが膨大。『これとこれでいける』といった感じで諦めないから、新しい発想が生まれてくる」として、最後は「人の協力」が重要になることを実感しているというのだ。

幸田さんが培ってきた技術や知見を池田さんが受け継ぐ(写真:三菱自動車工業)

たしかに、ラリー競技はサーキットやロードコースで行うレースとは違い、天候変化へ対応したり、クラッシュしても応急措置で走らせる判断を要したりと、臨機応変さが必須である。

予期せぬトラブルが日常的に起こりうるため、データ解析は当然行うが、最後は「人の力」が勝負を決める。

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