子どもの4人に1人が眠れない!学力・集中力を下げる「社会的時差ぼけ」の正体と、 快眠を導く「スマホ・お風呂・昼寝」のコツ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「とくに影響を受けるのが、前頭葉機能です。感情のコントロールを司っているので、イライラしたり、集中力や注意力が続かなくなったりします。また、意外と知られていませんが、前頭葉は記憶や学習、ひらめき、人の心を推し量る能力にも関係しています。つまり、睡眠と学校生活に必要な働きは密接にリンクしているんです」

睡眠不足になると、脳の働きが悪化し、イライラの増加や集中力の低下を引き起こす
(画像:田中秀樹氏提供)

「そんなことはわかっている。だから早寝早起きの指導をしているんだ」、そう言いたい教員もいるだろう。早く寝れば睡眠時間が確保できると考えるのは自然だ。ところが、現実はそんな思惑を超えたところにある。田中氏は続ける。

「実は現在、眠りたくても眠れない子どもが4人に1人はいます。寝たくないから睡眠時間が減るのではなく、眠れないから睡眠不足になってしまうのです。

背景にあるのは、生活の夜型化です。学習塾や習い事で家に帰るのが遅くなるうえ、スマホやゲーム機などの画面から出る明るいブルーライトを浴びていると、眠りに大切な睡眠ホルモン『メラトニン』が出にくく、寝つきや睡眠の質が悪化します。

学校がある平日が睡眠不足になると、休日に遅くまで寝てしまい、睡眠不足を補うかわりに、体内時計をずらしてしまいます。その結果、『社会的時差ぼけ』と呼ばれる状態に陥ってしまうのです」

広島国際大学健康科学部心理学科教授の田中 秀樹氏
田中 秀樹(たなか・ひでき) 広島国際大学健康科学部心理学科教授/広島大学大学院修了。博士(学術)。同大学院助手、国立精神・神経センター精神保健研究所特別研究員などを経て2001年に広島国際大学助教授。2009年より同大学教授。2018年に同大学心理学部長、2020年より同大学健康科学部長、2025年より副学長。日本精神衛生学会理事、日本睡眠環境学会学会長。睡眠改善研究に重点をおき、睡眠を切り口にした鬱、認知症予防などの地域活動や睡眠改善インストラクター、睡眠健康指導士の養成に従事。20年以上にわたって地域や学校で睡眠健康教室や睡眠授業を展開している。著書に『子どもの睡眠ガイドブック』(朝倉書店・共著)、『睡眠のなぜ?に答える本』(ライフ・サイエンス・共著)など(写真:本人提供)

時差ぼけといえば、海外旅行で起きる症状のこと。大きな時差のある地域へ急速に移動することで体内時計が社会的な生活時間とずれてしまい、不眠や日中の過度な眠気、倦怠感といった不調を起こす。国内でも、週末の遅寝、休日朝の2時間以上の朝寝坊で、同様の症状が起きる状態が「社会的時差ぼけ」だ。当然、学校生活にも支障をきたす。

「私が複数の研究者と取り組んだ4782名の中学生を対象とした調査では、1時間以上の社会的時差ぼけが日中の眠気、イライラ、学業成績の低下などと関連していることがわかりました。

また、小学2年生3844名を対象とした調査では、『夜9時以降に就寝』『9時間未満の睡眠時間』『朝食を抜くことがある』に当てはまる小学2年生の58%が『眠気やイライラがあり、学校が楽しくない』と回答しています」

ちなみに、小学2年生への調査では、逆に「夜9時までに就寝」「9時間以上の睡眠時間」「毎朝、朝食を食べる」の3つの習慣をすべて満たした児童の94%が「授業中の眠気やイライラがなく、学校が楽しい」と回答していたという。

「ダメ」「こうしろ」は逆効果!行動変容を促すコツは

この「社会的時差ぼけ」を解消するにはどうすればいいのか。20年以上にわたって睡眠教育に取り組んできた田中氏は、「まず、なぜ睡眠が大事なのかを気づかせることが必要」と話す。

次ページ「寝つき」は体温、「目覚め」は光がポイント
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事