「廃校跡地で農」岩手の小さな町が進める再生物語 公民連携でリスクを共有する《地方創生プロジェクト》の目的とは

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すでにグローサリーストアとレストラン、居住区の一部が運営しており、ホテルと居住区第2期は26年にオープン予定。ビジターセンターや地域の物産店、カルチャー施設などが入る複合施設は27年に開業予定だ。

居住区第2期の6戸のファミリー向け住戸は、周辺より地代が3〜5割ほど高いにもかかわらず、全戸で入居者が決まっているという。目の前に農地が広がる、人の営みと自然が溶け合う生活へのニーズは高いようだ。

ノウルは、地域の産業振興がベースになりながら、いわゆる観光地ではなく、そこを訪れる観光客も、そこに住む人もいる、農を生業のひとつにするコミューンになっている点が特徴だ。それをこの地ならではの魅力とし、県内外から居住者および観光客を誘致していく地方創生になる。

ノウル 岩手県紫波町
ノウルのそれぞれの施設の前は一面が田畑になり、ソバ、麦のほか、さまざまな季節の野菜が植えられる予定。花々の畑も広がり、エリア一帯が緑に覆われる(写真:筆者撮影)

紫波町地域づくり課・係長の高橋竜介氏は、「人がたくさん来てほしいというよりは、ゆっくり過ごしていただいて、紫波町の魅力がうまく伝わる場所になればいい。そこから、景色や滞在そのものを気に入っていただくことで、また来たいと思っていただける施設になってほしい」と期待する。

紫波町はベッドタウンの側面もある

紫波町は盛岡市や北上市のベッドタウンとしての側面もある。全体の人口は微減しているものの、開発した宅地の購入者は30~40代が増えており、子どもの数も増加しているという。

宅地価値が上昇し、町の財政状況を大幅に好転させるほどではないものの、固定資産税収入も着実に増えている。

そんな紫波町の今後の課題は、新幹線で盛岡市や北上市に向かう際に“通過される”町から、少しでも人々の滞在時間を長くして、楽しみながら消費してもらう町に変わること。ノウルはそのための施策の1つになる。

また、前述の高橋氏は、「住民が希望を持てる町になること」も願う。「個人的には、町の基幹産業の農業から、一発当てる人が地域に出てきてくれれば、という思いがあります(笑)。そうすれば、若い人が農業に携わりやすくなりますから」(高橋氏)。

ノウルは、紫波町の農業と地域の人々の生活を、来訪者の滞在とリンクさせる施設になる。町の未来と密接につながったコミューンになりそうだ。

武井 保之 ライター

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たけい・やすゆき / Yasuyuki Takei

日本およびハリウッドの映画シーン、動画配信サービスの動向など映像メディアとコンテンツのトレンドを主に執筆。エンタテインメントビジネスのほか、映画、テレビドラマ、バラエティ、お笑い、音楽などに関するスタッフ、演者への取材・執筆も行う。韓国ドラマ・映画・K-POPなど韓国コンテンツにも注目している。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク系専門誌などの編集者を経て、フリーランスとして活動中。

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