未曾有の感染症が村を襲う…京都で奔走した「幕末の医者たち」描く熱き物語 映画『幕末ヒポクラテスたち』の凄さ
本作は、京都府立医科大学の創立150周年記念事業の一環として立ち上がった企画に、『ゴジラVSビオランテ』『わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語』など数多くのヒット作を手がけた故・大森一樹監督が打診されたことからはじまった。
大森監督といえば同大学医学部の卒業生であり、医師免許を持つ異色の映画監督だった。京都の医大に通う医学生たちの青春と葛藤を描きだした1980年の映画『ヒポクラテスたち』は、大森監督の代表作の1本であり、原点。『幕末ヒポクラテスたち』を「自分の映画人生の集大成」とするべく、『ヒポクラテスたち』の続編的位置づけの作品として構想をふくらませたのが本作である。
本作の原案となったのは、『無法松の一生』でベネチア国際映画祭金獅子賞を獲得した稲垣浩監督が1960年に手がけた傑作映画『ふんどし医者』。
同作は、江戸時代末期の東海道・島田宿を舞台に、貧しい人々のために診察する蘭学医・小山慶斎(森繁久彌)が主人公。博打好きな妻(原節子)が、慶斎の着物までも借金のカタに差し出してしまうため、しばしばふんどし一本となってしまう。そんな彼を人々は「ふんどし医者」と呼び、慕っていた。だが時代は明治へと移り変わり、医療技術はどんどん進化していき――という物語だ。
1960年の作品ながら、現代にも通じる普遍的なテーマを描き出した同作をベースに再構築した『幕末ヒポクラテスたち』だが、そこに『ヒポクラテスたち』のルーツとなる医師たちの志や、移り行く時代に向き合う覚悟などをちりばめて、脚本の初稿をつくりあげた。
一度は頓挫しかけた
撮影準備が進んでいた2022年。大森監督の急逝により、映画は頓挫の危機へと陥った。だが、京都府立医科大学OBやOGたちから「映画を完成させてほしい」という声が相次ぎ、寄付・クラウドファンディングなどで資金を集めることとなり、企画は再始動。
監督は、大森作品の助監督を務めた経験を持ち、大森監督とも親しくしていたという緒方明が担当。『ヒポクラテスたち』がデビュー作となった内藤剛志をはじめ、同作に出演していた柄本明、そして大森監督の『風の歌を聴け』でデビューした室井滋、『ヒポクラテスたち』で制作進行を務めていた森重晃プロデューサーら、大森一樹監督と馴染みの深いキャスト、スタッフが大勢参加。その遺志を引き継いでいる。





















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