「中国地方の鉄道」、現役ローカル線と廃線の記憶 木次線や芸備線など「日本の原風景」を行く列車
この時、とくに記憶に残っているのが備後落合駅である。芸備線と木次線の接続する駅で、最近は赤字ローカル線の問題でニュース映像に登場することも多い。今では発着するのは単行の気動車で、列車本数も極めて少なく「秘境駅」といわれるが、当時は本数も多く駅前もにぎわっており、山間部の鉄道の要衝という趣があった。
宍道から木次線でこの駅に到着し、乗り換えた芸備線の列車は当時新鋭だった「レッドトレイン」こと50系客車をDE10形ディーゼル機関車が牽く編成だった。3月ながら雪景色の中、赤い客車の姿が非常に印象に残っているが、残念ながら当時のカットが見当たらないのが悔やまれる。
木次線の思い出
山陰方面のローカル線は、ブルートレイン「出雲」の同乗取材や撮影などの際に立ち寄るという形が多かった。
とくに木次線は、亀嵩駅が松本清張の小説『砂の器』に登場するからというわけではないがミステリアスな魅力を感じ、JR化後もたびたび訪れ、筆者の鉄道以外のテーマである湧き水の取材でも訪問した。出雲坂根駅に泉源のある「延命水」はとくに有名だ。98年にトロッコ列車の「奥出雲おろち号」が運行開始してからは、この列車の取材も行っていた。
だが、備後落合まで行く機会はなかなかなく、近年訪れた際はまさに隔世の感であった。最近は「乗り鉄」でにぎわうこともあるようだが、その時は各方面に向かう3本の列車がそろったタイミングでも乗客は2人だけだった。山中の駅ながら3方向の列車が集うターミナルという雰囲気はなく、かつての姿との差にショックを受けた。




















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