戦後の日本社会においては「経済成長」「物質的な富の拡大」が国を挙げてのテーマとなっており、「すべての問題は成長によって解決される」と考えられていたからだ。「実際に一九八〇年代頃までは、そうした方向が少なくとも表面上はそれなりに機能した」と広井氏も指摘するこの傾向は『池中玄太80キロ』シーズン1放送時の時代観とも、もちろん合致する。
このような当時の空気感を読むと、玄太が懸念していた「炊事とかさ洗濯ばっかりやってたんじゃ娘たちの望むような父親にはなれねーかもしれないな」という考えも一理あるなと思ってしまう。
繰り返すようになるが、玄太は「家事をしない男」だったのではない。成長神話とムラ社会が成立していた時代においては「仕事に全身全霊を捧げること」が父としての責任だったのだ。
あれから45年、さすがに日本男児も家事をするように?
池中玄太が家族のためにと仕事に全身全霊を捧げていた時代から早45年。共同体が成長を支えていた時代は終わった
かつて「仕事する男性」のために「家で支える女性」が行うことが当然視されていた”炊事”をという営みは、パートナーとのコミュニケーションや関係再構築を図る手段としての役割へと変容しつつある。
そんななか、2025年に人気を博した『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)の海老原勝男(竹内涼真)は、新たな男性像とコミュニティの模索を象徴する存在と言えるだろう。続く後編では、同作のヒットの背景を、男性と家事との関係性という観点から深堀りしていこう。
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