「いつ打ち合わせにしましょうか?」 目の前にいるのになぜ"チャットで連絡?" 若手の言い分と上司のため息…
ここで、ひとつの興味深い研究を紹介しよう。
ストレスを与えた子どもたちを3つのグループに分けた実験がある。1つ目のグループは母親と直接会って話した。2つ目は母親と電話で話した。3つ目は母親とチャットでやり取りした。
結果は驚くべきものだった。直接会ったグループと電話で話したグループは、ストレスホルモンが急速に下がった。一方、チャットで励ましの言葉をもらったグループは、ストレスホルモンがまったく下がらなかったのだ。「誰とも接触しなかったグループ」と同じ水準だったという。
つまり、文字だけのやり取りでは、人間の身体は「安心した」と感じないのである。
対面で話すと「脳が同期する」
お腹が空いているときに、料理の写真を見ても満腹にはならない。どんなにおいしそうな写真でも、実際に食べなければ空腹は満たされない。テキストコミュニケーションも同じだ。どんなに温かい言葉が並んでいても、声のトーンや表情がなければ、身体は「つながっている」と感知できないのだ。
人類の歴史を振り返ると、文字が誕生したのはわずか5000~6000年前のこと。一方、声や表情で仲間とつながる仕組みは、それより前から長い時をかけて進化してきた。私たちの脳は、文字だけで安心感を得られるようにはできていない。これは気持ちの問題ではなく、生物学的な事実だそうだ。
リアルコミュニケーションには、テキストでは絶対に再現できない効果がある。
対面で相手と同じ空間を共有する。目を合わせ、声を直接交わす。このとき人間は、いくつもの感覚(五感)を無意識のうちに活用することになり、お互いの脳活動が同じ波長でシンクロするという。これを「脳間同期」と呼ぶらしい。
ライブコンサートに行ったことがある人なら、わかるのではないか。あの一体感を思い出してほしい。同じ空間で同じ音楽を浴びると、観客全体がひとつになったような感覚に包まれる。スタジアムに足を運び、スポーツ観戦するとき、私もよく味わう。
あれと似たことが、対面の会話でも起きているのだ。相手の微細な表情、呼吸のリズム、声のトーン。これらを五感で捉えることで、深い共感や無意識の信頼感が生まれる。
チャットの文字列を読んでいるだけでは、この「脳間同期」は起きない。絵文字やスタンプがどれだけ豊富になっても、脳の同期を引き起こすことはできないそうだ。




















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