ホルムズ海峡「1日120隻が5隻へ激減」の衝撃 ガソリン・物流・自動車輸出…日本経済への本当の影響

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さらに、保険の問題もあります。海上保険は、船そのものに対する損害をカバーする船舶保険と貨物に対する損害をカバーする貨物保険、油などによる海洋汚染、船舶が沈没、座礁したときの撤去費用など船舶の運航に伴って発生する損害をカバーする船主責任相互保険(P&I保険)があります。

戦争保険の追加保険料(AWRP)が船価の0.15%から1〜3%へと通常の数倍から10倍以上に異常高騰。船主などが共同で設立・運営する海上保険組合であるP&Iクラブの主要12クラブ中7クラブが、3月5日からペルシャ湾に入る船舶に対する戦争リスクの補償を停止すると発表しており、ペルシャ湾内に入ることが困難になっています。

海上輸送全体や、他航路の運賃などへの影響

ホルムズ海峡の事実上の封鎖は、原油タンカーやLNG船の運賃に直ちに影響を与えました。中東〜極東間を結ぶVLCC(超大型タンカー)の市況は、攻撃前からすでに高水準にあったワールドスケール(WS/タンカーの運賃指標「基準運賃」)220超から急騰し、攻撃直後にはWS410〜465まで上昇。攻撃後初めての実成約(韓国向け)はWS450で成立し、日建て換算で45万ドル前後と過去最高水準と見られています。

LNG船市況はさらに激しく動きました。カタールエナジーの生産停止とホルムズ海峡の通峡リスク上昇を背景に、LNG船のスポット運賃は攻撃前の1日当たり3万〜4万ドルという水準から5倍以上の急騰を見せ、北米・欧州間では30万ドルを超えました。ペルシャ湾内では約17隻のLNG船が足止めされており、2月28日以降ホルムズ海峡を通過したLNG船は確認されていません。

コンテナ船については、大手各社が中東発着貨物の予約停止と緊急サーチャージ(追加運賃)の導入に動きました。さらに各社は3月初旬にアジア〜欧州・地中海航路などでFAK(品目無差別運賃)レートを上げており、3月中旬に再度の上昇を目指す会社もあります。

コンテナ運賃上昇の背景には構造的な理由もあります。現在、多くの海運会社が喜望峰経由に迂回して航海距離が延びているため、同じ輸送需要をこなすためにより多くの船が必要になっています。紅海情勢が完全に正常化していない状況でホルムズ海峡危機が加わったことで、船腹需要の水準が高い状況が続くと予想されます。

また、旧正月明けのアジア発荷動きの回復など季節要因も重なり、幅広い航路でコンテナ運賃が上昇する可能性が高まっていますし、直近では中東向けの航路や南米向けの航路で運賃上昇がみられています。

(注)上海コンテナ運賃指数(SCFI)と上海発ドバイ行き、上海発ブラジル行き航路の運賃の推移 (出所)クラークソン
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