ホルムズ海峡「1日120隻が5隻へ激減」の衝撃 ガソリン・物流・自動車輸出…日本経済への本当の影響

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完成自動車を運ぶ自動車専用船にも深刻な打撃が及んでいます。日本から中東向けの完成車輸出は25年に約82万台(全輸出の14%)に上ります。しかし、フーシ派の攻撃で紅海側がすでに使用できないなか、ペルシャ湾側でも荷揚げが困難になりました。ペルシャ湾内に足止めされた自動車船は2日時点で16隻。中東向け完成車の代替輸送ルートは「事実上ない」状況です。

燃料油(バンカー)価格も急騰しています。シンガポール積みの硫黄酸化物規制適合油(VLSFO)はトン当たり695.5ドルと2月末から200ドル弱上昇しました。燃料コストの上昇は船社の収益を圧迫するため、燃料費サーチャージという形で荷主や最終的には消費者へと一部転嫁されます。

日本の生活物資への影響

ホルムズ海峡の封鎖が長引いた場合、日本の生活に幅広い影響が及ぶことが予想されます。コンテナ船に関係する部門を中心に、その影響を整理しましょう。

物価全般の上昇と生活物資への影響

原油・ガソリン価格の上昇は輸送コスト・製造コストを押し上げ、国内で生産・流通するあらゆる商品の価格にも波及します。物価上昇が起こる可能性は高いですが、その影響は原油価格の上昇を受けたものであり、コンテナ運賃の上昇による影響は相対的には小さいものと考えられます。

たしかに、コンテナ運賃の上昇も日本が輸入するあらゆる消費財・食料品の物流コストを押し上げる効果を持ちます。ただし、製品販売価格に対する物流コストの割合は高くありません。

たとえば、某メーカーがアジアから輸入したスポーツシューズでは、販売価格100ドルに対して、小売店舗や国内輸送などにかかるコストが約50ドル、メーカーの取り分が約22ドル、アジアの工場への支払いが約25ドルであるのに対し、海上運賃は約3~4ドルにとどまります。

そのため、物価に対するコンテナ運賃上昇の影響は大きいものではないと考えられます。筆者が以前日本の消費者物価について計算した結果では、コンテナ運賃が倍に上がっても消費者物価の上昇率は0.5%程度にとどまり、為替レートの10%円安や原油価格の10%上昇よりもインパクトは小さいものとなりました。

ほかに、コンテナ輸送ネットワークの混乱による港湾の混雑や荷物到着の遅れといった影響が起こることも考えられます。この場合は、中東からの輸入品だけではなく、アジア各国や欧米諸国からの輸入品目の入手が難しくなる可能性があることは指摘しておきます。

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