病床稼働率は88.1%なのに巨額赤字…「正しい医療」するほど赤字膨らむ異常事態 各病院の努力が反映される「機能評価係数Ⅱ」ランキング

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同院が老朽化し増築を繰り返した結果つぎはぎだらけだった病棟を建て替え、総工費480億円を投じた新病棟を開院させたのはコロナ真っただ中の2020年5月である。

がん、心血管疾患、脳卒中、周産期の増強を柱に、病床数も650のまま救急センターやICU、個室の増床(相部屋の減床)を行い、延べ床面積を旧病棟の1.8倍に増やす計画で2017年に着工。竣工がぎりぎり東京五輪前だったことが幸いし、その後の建築資材や工事現場の作業員の人件費高騰のあおりは受けなかった。

もっとも、旧病棟の取り壊しと跡地の再整備は新病棟開院後だったため、そのためのコストは当初計画を大幅に上回り、現在同院の損益を悪化させる要因の1つになっている。

新病棟竣工直前の計画では、新たに導入した高額の機器等の償却費負担で2023年3月期までは経常損益は赤字が続き、2024年3月期から黒字転換する計画だった。

しかし竣工と同時にコロナ禍に見舞われ、計画の前提が崩れた一方で、コロナ補助金(3年間で総額54億円)という想定外の慈雨に恵まれ、新病棟開業2年目から経常収支は黒字化した。もっとも、コロナ下においても医業収入は計画を上回る順調な伸びを示した一方で、人件費や材料費を中心に医業費用も急増。コロナ補助金を除外した経常収支は新病棟開業初年度から計画と大幅に乖離していた。

小規模な診療所に手厚く大病院に冷たい診療報酬体系

民間の事業会社なら赤字解消に向け、収入を増やし費用を圧縮するが、医療機関が「国推奨の正しいこと」をやりながらできることは限られる。

同院は2025年3月期、平均在院日数を11日から1日短縮することに成功しているが、それは裏を返せば入院収入が1割減ったことを意味する。医師が患者に「もう1日、2日様子をみましょう」と言えば金曜退院ではなく月曜退院にでき、その分治療をせずに2日分の入院収入を稼げるが、それは「国推奨の医療機関として正しいこと」ではない。

医薬品も医療機器も高騰する中、特定病院群の指定を維持したまま治療に必要な材料を減らせる余地も限られる。

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