東急「異彩作家のアートな電車」はなぜ生まれたか 沿線風景描いた作品をラッピング、起用の狙い

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もともとは、11月の運行開始に際し発表会や出発式を行う予定があったが、10月5日に起きた田園都市線梶が谷駅構内での脱線衝突事故から日も経っていないこともあり、華々しいセレモニーは自粛し、静かなスタートとなった。しかし、ラッピング電車の趣旨を考えれば、今回のように、気がついたら電車が走っていて、いつの間にか沿線になじんでいたというほうが似つかわしい。

ラッピング電車の運行期間は決まっていない。中島氏から提供されたアート作品の中にはまだ使っていないものもあるといい、それらを「新しい形で発信することも考えている」と稲葉部長は話す。

東急 ヘラルボニーラッピング電車 関係者
左から東急電鉄の稲葉氏、作品を制作した中島氏、ヘラルボニーの桑山氏(撮影:尾形文繁)
【写真をもっと見る】「SHIBUYA109」や田園調布の旧駅舎、多摩川の河川敷…東急沿線の風景を大胆に描いた「異彩の作家」のアートをラッピングした東急の電車

鉄道から障害をなくせるか

ヘラルボニーは「障害」の捉え方として、その人自身に障害があるのではなく、その人が存在する社会や環境に障害があると考えている。それを理解したうえで東急電鉄がヘラルボニーと組んだということは、鉄道からあらゆる障害をなくす覚悟を持って臨んでいるというべきものだ。

稲葉部長は「他社に先駆けホームドア・センサー付き固定式ホーム柵の100%設置などのバリアフリー施策に取り組んできたが、さらにヘラルボニーさんの世界観のようにソフト面を大切にしていきたい」と話す。その先にあるのは、障害のない沿線の実現である。障害のある人が輝いて、活躍できるような沿線、それが実現すれば真の意味で「暮らしやすい沿線」になる。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げ。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に定年退職後の現在は鉄道業界を中心に社内外の媒体で執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京交通短期大学特別教養講座講師。休日は東京都観光ボランティアとしても活動。

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