住友林業と電通が発表した「社債型種類株式」は個人マネーを大きく動かすイノベーションだ

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「必要は発明の母」という言葉があるように、イノベーションはニーズから生まれます。社債型種類株式もまさにそうで、そこには2つのニーズがありました。

① 企業のニーズ

日本の家計が持つ個人金融資産は2286兆円に及びます。そのうち約半分の1122兆円が現金・預金に眠っています(日本銀行・資金循環統計)。企業にとってこの巨大なマネーは魅力的です。

住友林業のような大型M&A、電通のような財務再建――どちらも巨額の資金が必要となる中、機関投資家や銀行といったプロの資金の出し手とは違うアングルを持つ個人マネーの取り込みは欠かせません。だからこそ株式分割や株主優待、IRサイトの充実から株主向けイベントの開催に至るまで、企業はあらゆる手を使って個人に魅力を訴えることに知恵を絞るのです。

② 個人投資家のニーズ

資産運用の一丁目一番地は「NISA枠」の活用です。年間最大360万円の非課税枠を使わない手はありません。その上で重視するのは「確実なリターン」。極力リスクを避けてリターンを得たい、誰もがそう思っています。

しかし、NISAの対象は上場株式・投資信託等に限られます。日々の値動きを気にしなければならないものばかりです。

日経平均株価がぐんぐん上昇する中、高値づかみは怖い。配当利回りは下がり、値下がりリスクが大きく見えることもあるでしょう。

年利4~5%程度の利回りが見込め、株のように値下がりを心配しなくてよい、安心して保有できる金融商品をNISAで買えたら――、そんなニーズがかつてないほど高まっているのです。

こうした企業と個人投資家それぞれが持つニーズを結びつけたのが社債型種類株式なのです。

別名は「ハイブリッド証券」

社債型種類株式とは、企業のバランスシート上にある資本(株式)と負債(社債)の中間に位置する有価証券です。「ハイブリッド証券」とも呼ばれ、調達額の半分が資本認定されるため財務体質を強化できる一方、株式発行ではないため既存株主の持ち分を希薄化しません。

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