これに対し、猪又医師は「基本的にCSUでは食事や日常行動の制限は不要」と説明する。それどころか、制限すること自体がストレスとなり、かえって症状を悪化させることがある。
「例えば、熱いお風呂に入れば、症状が出やすくなるかもしれませんが、それも一時的なものです。辛いものも食べたければ食べても大丈夫。制限せずに、日々、リラックスして過ごすことを優先するほうが結果的にストレスを減らし、症状のコントロール、心の健康にもプラスに働きます」(猪又医師)
肌への保湿も、乾燥によるかゆみを和らげる助けにはなるが、蕁麻疹そのものが出なくなるわけではないという。
「塗る」ではなく「飲む」治療
原因がわからないからといって、CSUが「治らないというわけではない」と猪又医師は強調する。
CSU治療の第一選択は、抗ヒスタミン薬の飲み薬だ。近年は眠気などの副作用が少ない非鎮静性の抗ヒスタミン薬が主流で、車の運転や仕事の集中力など日常生活のパフォーマンスを下げにくくなっている。
「1日1~2回の内服で、約6割の患者さんは症状がコントロールできます」(猪又医師)
まずは1~2週間服用してみて、効果が不十分な場合は、抗ヒスタミン薬の種類を変えたり、増量したりする。症状によってはH2拮抗薬や漢方薬などの補助的な薬を組み合わせる。
「おおよそ蕁麻疹の症状が出ていた期間程度、服薬することで、落ち着く人が多いです。症状が出なくなってからは、様子を見ながら徐々にやめていきます」(猪又医師)
抗ヒスタミン薬で改善しない場合には、次のステップとしてステロイドや生物学的製剤などを使う。「ゾレア(一般名:オマリズマブ)」や「デュピクセント(一般名:デュピルマブ)」は、長引くCSUに使われている生物学的製剤だ。
ゾレアは4週間に1回、皮下注射する。免疫に作用して難治性のかゆみや皮疹を改善する。初回の投与から、かゆみが改善する人もいるという。
「3回投与で約54%が良好に症状をコントロールでき、約30%は蕁麻疹がまったく出なくなったという報告もあります」(猪又医師)
デュピクセントは炎症の原因となる部分を直接ブロックし、かゆみや皮疹を改善する。アトピー性皮膚炎の治療薬として使われてきたが、CSUにも適応が拡大された。こちらは2週間に1回、皮下注射する。
いずれの薬も自己注射が可能なので、注射のたびに通院する必要はない。
これら生物学的製剤の登場により、なかなか治らなかったCSUもコントロールできるケースが増えた。
「症状を誘発する皮膚への刺激を避け、ゆったりとした服しか着られなかった患者さんも症状が改善され、『好きな服を着られるようになった』と喜んでいる人もいます」(猪又医師)





















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