「蕁麻疹というと、なにか原因があるはずだと思われがちですが、実際には特定できないもののほうが圧倒的に多数です」と猪又医師。
「原因がわかるケースのほとんどは、急性蕁麻疹です。具体的には、食物アレルギーや風邪などの感染症、薬の服用などをきっかけに始まり、できたり治ったりを繰り返しながら、数日程度で治まることが一般的です」
症状が出たり引いたりを繰り返している期間が6週間以上続くのが、慢性蕁麻疹だ。衣類の擦れや圧迫、寒冷、日光、発汗などの物理的刺激が特定できるケースは、わずか2割。約8割は明確な原因が見つからず、特発性=原因不明の「慢性特発性蕁麻疹(以下、CSU)」と呼ばれる。
実際、CSUの患者は年々増えており、国内の研究によると2016年の有病率は1.2%だったが、2021年には1.6%となっている。
CSUと免疫の関係
原因不明とはいえ、CSUでは「自己免疫的なメカニズム」が関係していることが指摘されている。免疫の誤作動によって、免疫細胞が自分の組織を攻撃してしまうのだ。
ただし、関節リウマチやエリテマトーデスといった膠原病のように、免疫細胞が特定の臓器や組織を敵と認識して攻撃し、傷つける自己免疫疾患とは異なる。
発症の引き金としては、「疲労やストレス、女性の場合は女性ホルモンの変動も影響していると考えられる」と猪又医師。傾向として、月経前後やピルの服用、更年期のゆらぎ時期に発症したり症状が悪化しやすかったりする。蕁麻疹患者に女性が多いのは、そのためかもしれないと話す。
蕁麻疹の患者にとって最もつらいのは、強いかゆみだろう。
発疹が出ているときは、蚊に刺されたようなかゆみが全身に広がっている状態といえる。それ故「夜眠れない」「仕事や勉強に集中できない」といったことが起こり、日常生活の質を大きく下げていく。
症状は、朝よりも夕方、体温が上がる食後や入浴後に出やすいなどの傾向は見られるものの、基本的にCSUは季節や時間帯に関係なく現れる。
「いつ症状が出るかわからない」という不安だけでなく、顔や手足に発疹が出た場合の見た目の問題から、服装や外出、人との交流などを狭めていく問題も。
ちなみに、CSUの一般的な罹患期間は6カ月~5年以内。長引く症状に「ずっとこの状態が続くのではないか」という恐怖が、心の健康にも及ぶことさえあるという。
「何で治らないのだろう、何か自分にいけないところがあるのだろうかと自分を責めて、うつ傾向になってしまう人もいます」(猪又医師)
物理的刺激などの原因がわかる蕁麻疹であれば、それらを避けることで症状が出にくくなる。しかし、CSUだと避けていいものが何かわからない。
それでも、自身の蕁麻疹の原因を特定すべく、SNSなどで情報を集め、例えば、「辛いものなど刺激物は食べない」「乳製品や小麦をとらない」「ケミカルな洗剤は使わない」などといった、食事や行動を厳しく制限する患者もいるという。





















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