「己の血統が賤しいことを打ち消そうと…」豊臣兄弟が隠し通した秘密の兄弟姉妹…秀吉の前に現れた"実の兄弟"自称する若者の哀れな末路とは

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彼女らとその身内の女性の末路は哀れなものでした。秀吉は、自らの兄弟姉妹と思われる人々をなぜ虐殺したのでしょう。

『日本史』は「彼(秀吉)は己の血統が賤しいことを打ち消そうとし」たからと書いています。秀吉の母・なかは、一説によると3回以上の婚姻歴があったとされます。そうしたことを考えれば、秀吉が知らない兄弟姉妹がいたとしても、おかしくはありません。

しかし、秀吉にとって、真の兄弟姉妹は、自らが見知っている智・秀長・旭だけだったのでしょう。それ以外の兄弟姉妹の存在を秀吉は許せなかったのです。

武士2~30人を従えて伊勢から大坂にやって来た若者は、秀吉に身分の保証を要求したとも推測されています。どこの誰だか分からないような者が突然現れて自分の兄弟を自称し、栄達を望むことを秀吉は嫌ったのです。

貧困に喘ぎ、何人もの男性と結婚した母

今回記した事件が起きたのは、秀長が亡くなる4年前のことですが、秀長もこの出来事を知り、どのような想いを抱いたでしょうか。兄・秀吉の行為を残虐であり、やり過ぎだと感じたのか、それとも「やむなし」と思ったのか。

いずれにせよ、関白にまで出世した秀吉の母が、かつて、貧困に喘ぎ、何人もの男性と結婚し、子を持ったということが世間に公になることは、豊臣家としては避けたいものだったのかもしれません。

(主要参考文献一覧)
・渡辺世祐『豊太閤の私的生活』(創元社、1939年)
・桑田忠親『豊臣秀吉研究』(角川書店、1975年)
・桑田忠親『桑田忠親著作集』第五巻(秋田書店、1979年)
・桑田忠親編『豊臣秀吉のすべて』(新人物往来社、1981年)
・新人物往来社編『豊臣秀長のすべて』(新人物往来社、1996年)
・藤田達生『秀吉神話をくつがえす』(講談社、2007年)
・渡邊大門『秀吉の出自と出世伝説』(洋泉社、2013年)
・柴裕之編著『豊臣秀長』(戎光祥出版、2024年)
・濱田浩一郎『秀吉と秀長 天下統一の軌跡』(内外出版社、2025年)

濱田 浩一郎 歴史学者、作家、評論家

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はまだ こういちろう / Koichiro Hamada

1983年大阪生まれ、兵庫県相生市出身。2006年皇學館大学文学部卒業、2011年皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は日本中世史。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『あの名将たちの狂気の謎』(KADOKAWA)、『北条義時』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)など著書多数
X: https://twitter.com/hamadakoichiro

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