小中学生の10%が《香害》で体調不良、「給食着の柔軟剤臭がキツイ」「登校できない」「退職する教員も」…学校での健康被害《深刻な実態》

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小学校中学年のBさん(仮名)は、化学物質に暴露すると、じんましんや発熱、体の痛みなどの症状が現れ、外出が難しくなる。学ぶ意欲が強いものの、どうしても行動は制限されてしまう。

「体がしんどくならなければ、いろんなところに旅行したり、いろんなものを見に行ったりしたいなあ……」と、Bさんが日々つぶやく姿に母親のC(仮名)さんは胸が苦しくなる。

現在、Bさんは特別支援学級で学んでいるが、Cさんは、「学校に対しては感謝しかありません」と語る。Bさんのために、学校は支援級の教室に活性炭シートを敷き、空気清浄機を設置。廊下や下駄箱などに香りが残らないように、換気にも力を入れてくれている。

また入学前の保護者説明会のときには、校長が保護者に対して、新入生の中に化学物質過敏症の子どもがいることを説明。香害に関する資料を配るとともに、「子どもたちが安心して暮らせる環境を守るために、洗剤について考えてください」と呼びかけてくれたという。

ただしCさんは、こうした取り組みが学校単位の努力に委ねられていることに疑問を感じている。学校によって対応に差が生まれ、学習権の保障にばらつきが生じかねない。そのためCさんは、市の教育委員会に行政としてこの問題に取り組むよう繰り返し求めてきた。

「校長先生が呼びかけてくださった後、『実はうちの子も香りが苦手』と私に連絡してきてくださった保護者の方が数名いました。苦しんでいるのはうちの子だけではありません。教育委員会には、市内の化学物質過敏症の子どもの状況把握や、学校間での対応策の共有化、教職員への研修会の実施などをお願いしてきました。しかし反応は芳しくありません」(Cさん)

「教育を受ける権利」と「教育環境」の問題

子どもの香害問題を教育の観点から考えたとき、問題点は主に2つある。

1つは、香害に苦しむ子どもたちの学習権の保障の問題だ。教室に入りたいのに入れないという状況では、教育を受ける権利が守られているとは言いがたい。

もう1つは、教育環境全体の問題である。香害を自覚していない子どもたちも含め、すべての子どもが日常的に化学物質にさらされている可能性があるにもかかわらず、社会的な対策が追い付いていない。また、平賀氏らの調査によれば、香害によって退職を余儀なくされるなど教員が苦しんでいるケースも少なくないとのことだ。

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