小中学生の10%が《香害》で体調不良、「給食着の柔軟剤臭がキツイ」「登校できない」「退職する教員も」…学校での健康被害《深刻な実態》

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「シックハウス症候群の原因となる13の化学物質については、2000年代初めに厚生労働省が『室内濃度指針値』を定め、建築業界も対応したことで発症は減少しました。一方、香りは規制がないどころか、香りつき製品の市場は拡大しています。香害は令和のシックハウス問題と言えます」(平賀氏)

「毎日学校に通う」という“当たり前”が困難に

学校は、教室で長時間過ごす集団生活が基本だ。そうした密室の環境では、香害によって「毎日学校に通う」という当たり前のことが、困難になるケースもある。

高校1年生のAさん(仮名)もその1人だ。幼少期からガソリンやクレヨンなどの臭いに反応し、化学物質過敏症と診断されたAさん。症状が重くなったのは小学校高学年、社会がコロナ禍にあった時期だ。

学校の入口で手指のアルコール消毒が習慣化し、手洗い場のハンドソープも除菌が強力なものに変わった。強い臭いが広がり、Aさんは校内に入ることすらできなくなった。校内は柔軟剤の臭いも苦しく、体や頭がずーんと重くなり、そんな中で柔軟剤やインクの臭いの付いた教科書やプリントを無理に読もうとすると、頭がぼんやりとなり、文字が浮いて見えるようになってしまった。

中学校に入学したものの通学が難しいAさんは、当初は自宅で教科書を見て自習し、わからないところを放課後に教員に電話で質問するという形で学習を続けた。教室で行われている授業にオンライン参加することが許可されたのは、2年生の半ばからだ。

「オンラインで授業を受けられるようになって、やっと教科書の内容が理解できるようになりました。オンラインを通じて友達とも勉強内容を教え合えるようになり、授業への意欲も高まりました」(Aさん)

Aさんは、高校進学後もオンラインで授業を受けている。高校は専用の教室を作ると約束してくれているが、入学が確認できてからでないと予算を組めなかった関係で高校1年生が終わろうとしている現在もまだ実現していない。

大変なのは、定期テストのときだ。自宅で受けることは許されず、教室は柔軟剤の香りが充満しており入ることもできないため、Aさんは炎天下や真冬の日でも、屋外の校庭で試験を受けている。

「最近は外でも柔軟剤の香りがきつくなっていて、シャワーを浴びてもなかなか取れません。外出すると一日中具合が悪くなってしまいます」と、Aさんは言う。

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