今や割高、欧州の鉄道乗り放題「ユーレイルパス」 かつては日本人旅行者の必須ツールだったが…

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LCCは荷物に厳しく、航空会社によっては受託手荷物だけではなく、荷物棚に収納する荷物にさえ課金し、基本運賃に含まれるのは前席下に収納できる荷物だけとする航空会社もあり、遅延などのケアもまったくない。搭乗手続きも有人カウンターで行うと課金され、専用アプリからのセルフチェックインが基本、あまり気分のいい旅は期待できないかもしれないが、物価高のヨーロッパにおいてLCCの運賃は驚くほど安い。

LCCが発達した背景には、EU経済統合で、加盟国は域内を自由に飛べるという部分がある。アイルランド、スペイン、オランダ、ハンガリーなどのLCCがヨーロッパ内を自由に運航、EUを離脱したイギリスのLCCはオーストリアに現地法人を設立し、やはりヨーロッパ中を飛び回っている。アジア地域とはまったく事情が異なり、韓国のLCCが日本国内でも運航できるような状態なのである。

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陸路も格安バスが便利

いっぽう、格安バスはドイツのミュンヘンを拠点にしていたFlixBus(フリックスバス)がヨーロッパ中を運行するようになった。ドイツから次第に勢力を拡大したというより、各国のバス会社とフランチャイズ契約のようなスタイルになっていて、運行は各国のバス会社、ブランドはフリックスバスになっていて、切符売場などはなく、すべてネット予約となっている。

FlixBusの4カ国直通便、多くの利用者でにぎわう(2022年 筆者撮影)

やはり近年のLCC同様に、各国間を自由に運行し、最小限の便数でも多くの地域間を移動できるよう、高速道路上に乗り継ぎのためのバス停を設けているので、直行便がない都市間でもスムーズに移動できるよう工夫されている。

鉄道では行きにくい場所もうまくカバーされているので、近年は鉄道ではなくバスを移動手段にする層が増えている。観光地を巡る場合、鉄道だと最寄り駅から路線バスへの乗り継ぎになることが多いが、高速バスは観光地へも直通できる。

鉄道の上下分離が進み、鉄道に新規業者が参入しやすいドイツでは、格安のFlixTrain(フリックストレイン)も運行するようになったが、当然ユーレイルパスではフリックストレインは乗車できない。

ヨーロッパ格安旅行はLCCや格安バスをうまく利用することが主流となったようで、「鉄道の旅」は移動手段というよりは、車窓の美しい区間だけをピンポイントで乗るような、いわばアトラクション的にとらえられている部分もある。

しかし、LCCや長距離バスは点と点の移動になりがちで、鉄道のように途中下車ができないので、空港のない地方都市などは訪ねにくくなる。格安旅行の主役がLCCや長距離バスになった今だからこそ、点ではなく、面的な移動ができる鉄道旅行の復権も望みたいところである。

【写真を見る】オレンジ色の車体だった登場時のTGVなど、ヨーロッパ鉄道旅で筆者が撮影してきたいまでは貴重な写真の数々
谷川 一巳 交通ライター

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たにがわ ひとみ / Hitomi Tanigawa

1958年横浜市生まれ。日本大学卒業。旅行会社勤務を経てフリーライターに。雑誌、書籍で世界の公共交通機関や旅行に関して執筆する。国鉄時代に日本の私鉄を含む鉄道すべてに乗車。また、利用した海外の鉄道は40カ国以上の路線に及ぶ。おもな著書に『割引切符でめぐるローカル線の旅』『鉄道で楽しむアジアの旅』『ニッポン 鉄道の旅68選』(以上、平凡社新書)などがある。

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