献立は1週間分を暗記——80歳「スーパー寮母」の日課と段取り。若者の暮らしを支えて半世紀、学生寮を続ける活力はどこから?
7時には部屋から学生たちが入れ替わり立ち替わりに食堂にやってくる。勝子さんは一人ひとりと挨拶を交わす。
勝子さんの声掛けの定番は「〇〇くん、今日は何限目から?」「その後の予定は?」だ。それぞれ学生の状況で質問を変える。すでに勝子さんに打ち解けているからか、学生たちは親しげに言葉を返す。
午前9時すぎ、配膳のスタッフにバトンタッチし、車で開店まもない業務スーパーへ向かう。週に5日、3〜4軒のスーパーをはしごする。野菜は別のスーパーへ、お肉は昔から信頼しているお肉屋さんで購入する。鶏肉なら1回に3.5キロから5キロ。食パンは一度に8袋。
スーパーのカートの上段と下段を食材で埋め尽くし、たった1人で車にめいっぱい積み込む。買い出しで毎日数万円が消えていく。
1週間分の献立を暗記し食材を管理
勝子さんは、いつも1週間分の献立を暗記している。事前に冷蔵庫と食材倉庫として使っている部屋にどれくらい在庫があるかを把握。チラシに載っているセール品なども暗記し、まるでパズルを組み立てるように頭の中で計算して、必要な食材を大量に買う。
「買い出してるときに、うっかり忘れてしまって、スタッフさんに『(食材倉庫の部屋に行って)食パンがどれくらい残っているか見てきてくれる?』とお願いするときもあります。あとは東京に住んでいる3人の娘が、月に数回パスタやサラダオイル、醤油、食パンなどをまとめて買ってきてくれています」(勝子さん)
買い物から帰ってくると、すでに昼すぎだ。休む暇なく、購入した食材をそれぞれの場所へ収納していく。
その際、勝子さん流の食材の管理方法がある。
「野菜袋の一つひとつに、いつ買ったかメモを添えるんです。そうすれば、前に買ったきゅうりと、最近買ったきゅうり。どっちから使うかわかるでしょう」
使い途中の野菜なども空気が入らないように、ラップで丁寧に密閉する。35人分の献立づくり、買い物、食材管理……。それらをほぼすべて勝子さんが管理していることに驚いた。




















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