どこで始めるか、いつ働くか、生計はどう立てるか……就農に興味を持ったら考えるべきこと、すべきこと

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野菜などの農作物には、構造的に避けがたい「直面する3つの課題」があります。

1つ目は、作物ができる時期がどうしても重なってしまうこと。トウモロコシやキュウリのように季節性のある作物は一斉に収穫されるため、一気に供給が上昇して価格は下がりやすい。2つ目は、「足が早い」こと。特に野菜の多くは保存がきかず、たとえば「値上がりするまで保存し売り控える」ことができません。加工や流通の工夫がなければ、あっという間に価値を失ってしまいます。そして3つ目は、私たち消費者側の意識です。メディアで「野菜が高い」と報じられるたびに、「野菜は安くて安全があたりまえ」という認識が強化されていくという現実があります。

私は、就農相談で来られる方にこの3点を示し、「あなたなら、どうやって乗り越えますか」と問いかけることがあります。農業はロマンだけでは続かないからこそ、始める前に現実を直視する必要があると思うからです。

農業は全日本人の自分事であり、就農人口を増やすことは喫緊の課題です。米や麦といった穀物を担う大規模農業は今後も国の重要基盤として支援されるべき分野でしょう。と同時に、兼業を前提とした小規模農家モデルにも可能性があります。

大金を稼ぎ出せる仕事になるとは限りませんが、趣味と実益を兼ねるようなかたちで農業に関わる人が増えることは、社会にとって大きな意味を持つでしょう。たとえ少人数でも、「農業をやってみたい」という人が増え、その人たちが少しでも収入を得られるなら、それは地域にとっても確かなプラスになります。

とりあえず、ゆるく農業に関わってみる

農業は「自分の全リソースを注ぐか、注がないか」という類のものではありません。

たとえば会社員として働きながら、週に数日、農家を手伝い、ある程度の時間をかけて農業との相性を見極める。自分の今の働き方やライフスタイルとも比較して「やっぱり自分でもやってみたい」と思ったら、就農に向けて準備を始めるという順序でいいと思います。

今は「タイミー」でも農家での単発アルバイトの募集を見かけるようになっていますし、収穫の手伝いなどを紹介する「おてつたび」のようなサービスもあります。少しでも就農に興味があるのなら、こうしたサービスも利用しつつ、とりあえず、ゆるく農業に関わってみたらいいのではないでしょうか。

(構成/福島結実子)

松澤 龍人 東京都農業会議事務局次長兼業務部長

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まつざわ りゅうと / Ryuto Matsuzawa

1968年生まれ。1992年より東京都農業会議に勤務。1994年から現在まで農地関係制度を担当。2006年から新規就農相談の担当となり、2009年に東京都内初の新規就農者を誕生させ、2012年には東京都内の新規就農者等で組織の仕掛人となり東京NEO-FARMERS!を結成。これまで規就農の相談に対応したのは累計1,000人を超える。

農地専門相談員として、多数の講演会・研修会の講師も務める。

共著書籍として、『都市農業・都市農地の新たな展望』(農政調査委員会、2021年)、『これで守れる都市農業・農地 : 生産緑地と相続税猶予制度変更のポイント』(農山漁村文化協会、2019年)、『都市農業必携ガイド : 市民農園・新規就農・企業参入で農のある都市づくり』(農山漁村文化協会、2016年)など、多数。

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