「若手が育たない」—AI時代に浮上する"最も深刻な社会問題"。中島聡が予測する仕事が失われていく「10年後」
しかし、ここには落とし穴もあります。
これまで若手は、アシスタント的な「下積み仕事」を通じて、先輩の背中を見て育ってきました。先輩の営業マンについて回り、その背中で営業のイロハを学ぶ。
弁護士事務所も同様です。若手は判例のリサーチという地道な作業を通じて、法的な思考プロセスや訴訟戦略の立て方を学びます。コンサルタントもまた、データ分析という下積みを通じて、先輩の問題解決スキルを盗んでいく。
あるいは、クリエイティブディレクターの下で働く若手デザイナー。彼らは、先輩のアシスタントとしてラフを清書するなかで、「なぜこの色を選んだのか」「なぜこのレイアウトなのか」という、言葉では説明されない「暗黙知」を体得していきました。
これらの一見退屈な単純作業は、実はプロフェッショナルになるための「学びのはしご」でした。しかしAIXは効率化と引き換えに、このはしごの1段目を消滅させてしまうのです。
1人で100人分の生産性を持つ開発手法
実際に、私自身も「人を雇う」という選択肢を取ることが極端に減っています。以前なら、新しいサービスのアイデアが浮かぶと、実装のためにエンジニアを何人か採用していました。しかしいまは、AIがいれば私一人で完結します。
ここで鍵となるのが、「バイブコーディング(Vibe Coding)」という新しい開発スタイルです。これは、厳密な設計図を書いてプログラムをコーディングするのではなく、「こんな感じの機能が欲しい」という〝バイブス(ノリや雰囲気)〞をAIに投げて、即座にコードを書かせる手法です。
AIが書いたコードは極端な話、その場限りの「使い捨て」でもかまわない。エラーが出れば、それすらAIに直させればいい。人間は細かい文法を気にせず、指揮者のようにAIに指示を出すだけで、動くアプリケーションが一瞬で完成します。




















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