「若手が育たない」—AI時代に浮上する"最も深刻な社会問題"。中島聡が予測する仕事が失われていく「10年後」

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この手法を使うことで、私の生産性は爆発的に上がっています。100名のエンジニアを雇ったからといって、100倍のパフォーマンスになるとはかぎりません。むしろ、コミュニケーションコストがかさみ、50倍のパフォーマンスすら発揮できないこともよくある。しかし、私とAIなら、適切な指示を出せば100人分、いやそれ以上の生産性を発揮することができます。

しかし、これは同時に、若手エンジニアの居場所が消えてしまうことも意味します。かつてなら、「まず簡単な機能からつくってみて」と若手に任せていた仕事が、いまではAIのほうが早く、正確にこなせてしまう。

こちらもボランティアでやっているわけではありません。かくして、若手を雇う理由がなくなってしまったのです。もはや、中途半端なスキルしか持たない若手を雇うことは、コストどころか、スピードを落とす「リスク」でしかなくなってしまったのです。

「ベテラン」の概念がなくなる

若手が育たないという状況は、社会全体に暗い影を落とすことになるかもしれません。いまのベテランたちが優秀なのは、かつて若手時代に「下積み」を経験し、試行錯誤した土台があるからです。では、その機会を奪われたいまの若手たちは、どうやって将来のベテランになればいいのでしょうか。

もちろん、AIがさらに進化すれば、人間が経験を積んで成長する必要すらなくなり、「ベテラン」という概念自体が不要になります。

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いや、もっと言えば、AIがすべてを完結させるなら、その仕事自体が人間社会から消滅し、会社や組織そのものがなくなってしまうかもしれません。

これから、労働の8割がAIに置き換わっていく過程で、従来の人材育成システムと、AIの冷徹な効率性が衝突し、社会のあちこちで激しい摩擦が起きるかもしれません。

その混乱の先に、どのような社会の形が待っているのか。明確な答えは、まだ誰にもわかりません。

中島 聡 エンジニア、起業家、投資家

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なかじま さとし / Satoshi Nakajima

エンジニア、起業家、投資家。早稲田大学大学院理工学研究科修了。大学時代に世界初のパソコン用CADソフト「CANDY」を開発し、在学中にして約3億円のロイヤリティーを稼ぐ。

1986年、マイクロソフト日本法人に入社。1989年、米マイクロソフト本社に異動。Windows95、Internet Explorer3.0/4.0、Windows98の基本設計を手がける。Windows95に「右クリック」「ダブルクリック」「ドロップ&ドラッグ」などの機能を実装し、世界に普及させた。

2000年、米マイクロソフトを退社。同年、Xevo(旧UIEvolution)を創業し、全米ナンバーワンの車載機向けソフトウェア企業に成長させる。2019年、Xevo を3億2000万ドル(352億円)で売却。現在、iPhone、iPadのアプリをはじめとしたソフトウェア開発を行っている。人気メルマガ「週刊 Life is beautiful」は約2万人の会員数を誇り、まぐまぐ大賞2024・総合大賞1位を獲得。

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