「若手が育たない」—AI時代に浮上する"最も深刻な社会問題"。中島聡が予測する仕事が失われていく「10年後」

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人間の数少ない牙城となっていた肉体労働も、AIを搭載した人型ロボットが代替します。すると、残るのは誰か。それは、農地を所有してロボットに管理させる資本家かもしれません。AI企業を経営する起業家かもしれません。あるいは、AIを使いこなして戦略を立てられる、ごく一握りのプロフェッショナルかもしれません。

小説の中でタカシの母親はこう語りました。

中島聡氏(写真:徳間書店)

「友達の息子さん、なんていったかしら、AIエンジニア?になったらしいわよ」

その息子さんは、AIをつくる側として〝残る側〞なのかもしれません。

さて、前記事でのDuolingo・CEOのアン氏のメールが象徴しているのは、この変化がもはや「予測」ではなく、「すでに起きている現実」だということです。世界中の企業が、いまこの瞬間も、同じ決断を下しつつあります。

静かに、しかし確実に、雇用は消滅し始めているのです。

若手が育つ機会の喪失

AIXが進んだ組織で、最も深刻な社会問題となるのが「若手が育つ機会の喪失」かもしれません。

繰り返しになりますが、現在のAIは、すでに「大卒の若手社員レベル」の知能を持っています。プレゼンテーション資料の作成、データの集計と分析、議事録の作成、簡単なリサーチ。こうした仕事を、AIは人間と同等か、それ以上のクオリティでこなせます。

経営者やマネージャー層にとっては朗報です。若手社員を雇わなくても、AIが若手社員と同じ仕事を24時間365日、文句も言わずにやってくれるのですから。そう考えれば、「人間の新規採用をしない」という経営判断には、冷徹なまでの合理性があります。

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