AI(人工知能)は、人間の学習能力とスキル保持能力を著しく阻害する。このようなテクノロジーは、筆者らを含む多くの専門家が強調してきたように、われわれの知的活動の地平線を広げるどころか、人が自らの頭で考える条件そのものを損なうものとなる。
マイクロソフト、オープンAI、エヌビディア、ASMLなど、AIブームで儲けている企業群は、足元の熱狂を維持することが自らの利益となっている。ハードウエアとソフトウエアの双方の市場での彼らの少数独占は、「AIモデルが知的労働を完全に置き換える」という誇大宣伝に支えられているからだ。
「剽窃物のリミックス」を「生成」と偽る欺瞞
現実には、AIシステムが達成したとみられているものは、人類の知的労働の成果を見境なく盗むことで成り立っている。大規模言語モデル(LLM)が、著者や版元の許可なく書籍や学術研究をスクレイピング(データを自動抽出)して「学習」しているのは、その最たる例だ。
こうしたLLMが生成する人間のような反応は、剽窃物をつぎはぎしてリミックス(再編集)したものにほかならない。
AI業界が拡散している説によれば、人間の創造力、イノベーション、知識は基本的にすべて自動化できることになっている。
だが振り返れば、長きにわたって、高潮と退潮を繰り返してきたAIブームの歴史そのものが、ほぼ完全な自動化をうたう主張は行き過ぎで有害なものであることを示している。
自動化は——それが仮に機能するものになったとしても——、人間のスキルと主導権を侵食sせずにうまく用いるには、AI業界が喧伝しているのよりも、はるかに低いレベルで動作させなくてはならない。
この記事は有料会員限定です
残り 1137文字
