有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #欧州経済ウォッチ

セルビアの石油大手に制裁を科すトランプの意図/ロシアの停戦に失敗し、場当たり的な政策を繰り出すアメリカとEUのご都合主義

7分で読める 有料会員限定
  • 土田 陽介 三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員
2/4 PAGES

ではなぜOFACは、このタイミングでNIS社への制裁を実行することにしたのだろうか。ガスプロムネフチへの収入を絶ち、ひいてはロシアの国庫収入を減らすことがあるとの指摘もある。しかしそれにしては、いかにも小粒な対応である。そうした意図よりも、親ロシア的な姿勢を取る国に対して圧力をかけることが狙いではないか。

セルビアのガソリンスタンド。同国の石油不足が顕在化するかもしれない(写真:Bloomberg)

ハンガリーのMOL社がいくらセルビア向けの原油供給を強化したところで、自国の原油需給バランスが崩れてしまえば元も子もない。ハンガリーの原油輸出能力にはおのずと限界がある。一方、セルビア政府がNIS社を国有化し、ガスプロムネフチと袂を分かつことでもしない限り、制裁の全面的な解除は見込み難いところだ。

セルビアは欧州連合(EU)への加盟を一応の国是としているが、近年はEUに対する国民の好意も低下しつつあり、公表ベースで最新時点である2022年12月に行われた世論調査では、EU加盟に賛成する声は国民全体の43%にとどまった。同時にセルビアは、実利を重視して、中国やロシアに対して友好的な外交スタンスを強めていた。

親ロシア的な東ヨーロッパ諸国への圧力

そうしたセルビアに圧力をかけることで、同様に親ロシア的な外交スタンスを持つ国々に対して、その姿勢の転換を促すことが、アメリカの狙いだと推察される。ヨーロッパでその対象となるのは、セルビアに手を差し伸べたハンガリーであり、同国と歩調を合わせるスロバキアだろう。当然、ヨーロッパ以外にも念頭に置く国はあるはずだ。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数