トランプ大統領とFRB(米連邦準備制度理事会)のバトルが激化している。FRBをトランプ派が掌握し、地区連銀総裁の人事権も握る可能性がある。もしトランプ氏がFRBの「乗っ取り」に成功した時、何が起きるのであろうか。
まず、8月8日のクグラ-理事の辞任が唐突かつ不可解であった。もともと、同理事の任期は2026年1月までであり、その後任にパウエル議長に代わる新議長候補を送り込むのがトランプ政権の基本方針だった。
現在のFRB体制はどうなっているか?
FRB議長は7人の理事会メンバーから選ばれる。現在の理事会には、トランプ政権1期目の2020年12月に理事に選任されたウォーラー理事と、同じく1期目の2018年11月に理事に選任され、2期目の2025年6月に金融監督担当の副議長となったボウマン副議長が含まれる。この2人は7月30日のFOMC(連邦公開市場委員会)で利下げを求めて反対票を投じた。
パウエル議長は議長としての任期は2026年5月までだが、理事としての任期は2028年1月まである。そのため、パウエル氏は議長退任後も望めば理事としてFRBにとどまることもできる。
パウエル氏の後任議長が上記2人のどちらかであれば、クグラ-理事の後任人事はトランプ派の理事を増やす以上の意味は持たないが、例えば、有力候補と目されるケビン・ハセット国家経済会議(NEC)委員長やケビン・ウォーシュ元FRB理事を議長とする場合には、2026年1月のクグラ-理事改選時に送り込むしかない。2026年5月に交代予定の新議長が事実上、今秋に決まるとされるのはこうした事情があるためである。
ところが、そのクグラー理事が唐突に辞任した。もっとも兆候はあった。同理事は7月30日のFOMCを欠席した。欠席の理由は明らかにされなかったが、健康問題でもないのに、理事が金融政策を決定するFOMCを欠席するのは異例である。
そして8月1日に辞任を表明する(辞任は8月8日付)。秋からジョージタウン大学の教授職に戻るということだが、大学のポストはon leave(休暇中)の扱いなのでこのタイミングで戻る必然性はない。真相は謎のままだが、9月5日のCNBCの報道によれば、クグラー氏がメリーランド州に保有する複数の不動産物件について、どれがprimary residence(主たる居住物件)に当たるかについて記録の不整合があるという。
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