金価格が急騰している。8月28日の相場で金価格は1トロイオンス=3400ドル台に突入、さらに9月2日には3500ドルを突破した。その後、少しもたついたが、9月8日には3600ドルをも超えた。

足元ではクックFRB理事解任が材料視
金価格が急騰したのは、トランプ米政権がFRB(連邦準備制度理事会)の金融政策運営に対して介入を強めていることが嫌気されたためだ。直近では、8月25日にFRBのリサ・クック理事を解任すると発表したことが材料視された。
トランプ政権が発足する前から、金価格は上昇していた。コロナショック後のグローバルな高インフレを受けて、いわゆるインフレ・ヘッジの観点から、金を購入する投資家が増えたためだ。加えて、新興国の政府や中央銀行が、ドルに代わって金を準備資産として積極的に積み増したことも、金価格の力強い上昇を生む推進力になったと考えられる。
業界団体であるワールド・ゴールド・カウンシルによると、各国の中銀による金の購入量は、コロナショック直後の2021年時点において450トンだった。それが翌2022年には1080トンと倍以上に増加、2023年は1051トン、2024年は1089トンと高止まりしている。金という昔ながらの安全資産を、各国の中銀は積み増したことになる。
この流れは、アメリカでトランプ政権が成立した2025年に一気に加速する。特に、トランプ大統領が相互関税の概要を発表した4月、金価格は急騰した。金はドル安による影響でも価格が上昇するが、年初来のドル安は実効ベースで10%ほどに過ぎない一方で、金価格は30%以上も上昇している。つまり、金そのものが高くなっているわけである。
この流れは、「ドル不安」を反映した動きだと考えていいのではないか。ただし、ここでポイントになるのは、貴金属である金は、確かに金属主義(メタリズム)に基づけば信用力が高い資産であるが、実物であるがゆえに、国際決済には向かないという事実である。金は価値保存の手段にはなるが、決済の手段にはなりえないわけだ。
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