カダフィは、同じような暮らしを続けたければ、権力の座にとどまる必要があった。そして、権力の座にとどまるために、自分が支配している人間を1人残らず震え上がらせるという手段に頼った。
首都トリポリの市街で一般人が政権を非難しようものなら、たちまち投獄されたり、命を奪われさえしたりする危険があった。1996年夏にはカダフィの治安部隊は、拷問を行っていた刑務所の1つで、たった1日のうちに1200人以上を虐殺した。
反体制思想を抱くことまでもが危険視されていた。あるリビア人は、次のように述べている。「私たちは、あえて批判を口にしようとしなかっただけでなく、頭の中で批判的なことは何一つ考えようとさえしませんでした」。
地下トンネルが張り巡らされた本拠地
それにもかかわらずカダフィは、権力の絶頂にあって、敵の多くがすでに骸(むくろ)となったか、あるいは獄中にいたときでさえ、四方八方に脅威を感じていた。
彼の本拠地を囲む塀は、高さが4メートル、厚さが1メートルもあった。敷地の地下に掘らせたトンネルのネットワークは広大で、移動にはゴルフカートを使うほどだった。
トンネルは脱出路の役割を果たすとともに、包囲されたときにカダフィが国民に語り掛けられるように、内部に地下のテレビ放送局が設置されていた。
トリポリにある別の拠点には、頑丈な防爆扉を備えた手術室があり、流血の革命の最中でさえ、カダフィの命を救えるようになっていた。そこの地下施設は巨大だったので、あるジャーナリストは「迷宮」と呼んだ。
先行きに不安がないと思っている人は、何キロメートルにも及ぶ地下トンネルを持つ多数の拠点など必要としない。だがカダフィは、自分の将来が安泰ではないことを承知していた。
独裁者たちには、そのような防御施設を建設するべき切実な必要がある。彼らは途方もない脅威に常時さらされているのだ。
(翻訳:柴田裕之)
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