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「チェコ人はもう一度、社会主義的な価値観を取り戻す」とミランは語った/佐藤優の情報術、1991年クーデター事件簿113

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  • 佐藤 優 作家・元外務省主任分析官

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佐藤優氏によるコラム。ビジネスパーソンに真の教養をお届け。【土曜日更新】

コメンスキー福音主義神学大学のミラン・オポチェンスキー教授は、「プラハの春」が弾圧された後、チェコの知識人がニヒリズムに陥ったと言う。筆者は、その理由と実態がよくわからなかった。

──ミラン、チェコの思想的伝統はヒューマニズムではないか。ニヒリズムとヒューマニズムは相いれない概念だ。チェコの知識人からヒューマニズムが後退してしまったということか。

「いや、ヒューマニズムは残っている。問題はヒューマニズムの前提となる人間(ヒューマン)観が変化してしまったことにある」

──どういうことか。

「マサル、カール・バルトはヒューマニズムについてどう言っているか」

カール・バルト(1886〜1968年)は、スイスのプロテスタント神学者で、20世紀の神学にとどまらず哲学や思想に大きな影響を与えた。ナチスが政権を握った後、大学教授に課されたヒトラーへの全面忠誠を誓う書類に「ただし、福音主義(プロテスタント)教会の一員として従える範囲において」という留保条件を付したため、バルトは独ボン大学プロテスタント神学部教授職を罷免された。

そのためスイスに帰国し、バーゼル大学プロテスタント神学部で教えた。ナチスに対する抵抗運動を展開した地下組織「告白教会」の理論的支柱となった。チェコのプロテスタント神学者、ヨゼフ・ルクル・フロマートカの友人でもある。筆者が最も影響を受けた神学者がフロマートカで、それに次ぐのがバルトである。

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