フジ・メディアHD、株主総会で“圧勝”でも旧村上ファンド系に不穏な動き。待ち受ける臨時株主総会招致請求の恐怖

勝負は株主総会開催前から決していた――。
6月25日、大降りの雨の中、東京都江東区の有明アリーナで開かれたフジ・メディア・ホールディングス(FMH)の株主総会。受付が始まる午前8時前から約100人が並び、最終的に会場に集まった株主は前年を大きく上回る3364人(昨年は162人)に上るなど、関心の高さをうかがわせた。
今年の株主総会は、昨年12月に発覚した元タレントによる性加害トラブルをめぐって、アクティビスト(物言う株主)である米投資ファンドのダルトン・インベストメンツが経営陣への外部人材登用を求め、SBIホールディングス(HD)の北尾吉孝会長兼社長ら12人の取締役選任を求める株主提案を提出。一方、FMH側もファミリーマートの澤田貴司元社長ら11人の取締役候補を提案し、プロキシーファイト(委任状争奪戦)が繰り広げられていた。
「これだけ騒ぎになる株主総会も珍しい」

そのため、「これだけ騒ぎになる株主総会も珍しいから会場に来た」(40代男性)、「今後の対応次第で株価はまだまだ上がると見込んでいる。経営陣の真剣度合いを見に来た」(50代男性)といった個人投資家が詰めかけたのだ。会場には、かつてフジテレビとバトルを繰り広げたホリエモンこと堀江貴文氏も株主として姿を見せた。
ところがだ。出席した株主によれば
、午前10時の開会前に会場にはあるアナウンスが流れたという。
「本日は出席していない株主の方々が事前に議決権を行使した結果、会社が提案した取締役候補全員の選任が可決。株主から提案があった候補全員の選任が否決されました」。つまり、集まった株主の票を含めてもひっくり返らないほどの票差がすでに出ていたということだ。
株主総会の時間は昨年の110分に対して、今年は268分と2倍以上の長さになった。ただ、最初から勝負はついており、ある株主は「ほとんどどうでもいい質問ばかりだった」と振り返る。