新卒の「3年後定着率」が高い中堅企業ランキング 定着率が低い企業との決定的な違い

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(写真:Fast&Slow/PIXTA)

最近は退職代行サービスが流行するなど、若手入社員の早期退職が問題となっている。前回は新卒社員の3年後定着率が高い企業をランキング化したが、今回はその中堅上場企業版を紹介する。知名度がそれほど高くないかもしれないが、入社後の定着率は高い、そういった企業にはどのような特徴があるのだろうか。

対象は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2025年版掲載情報のうち、2021年4月の入社人数(3人以上)と3年後の2024年4月1日時点の在籍者数で算出。2024年3月期までの3年平均売上高が1000億円未満の526社が対象。なお、『CSR企業総覧(ランキング&集計編)』2025年版には、200位までの同ランキングを掲載している。

3年後定着率が高い企業の取り組み

ランキング1位は3年後定着率100%で75社が並んだ。そのなかで、2021年4月の新卒入社者が最多だったのは、イベントや展示会、販売促進を支援する博展で28人。社内公募制度や年1回優秀者を表彰するなどして従業員のやる気を高めている。2位は丹青社で26人。空間ディスプレーの企画、設計を手掛けている。資格取得者への通学費補助、報奨金、手当支給や階層別の教育制度を設けている。3位は平田機工で25人。優良な発明、優れたコストダウンを実施した従業員を表彰し、報奨金を支給するユニークな制度を設けている。

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トップ3以外では、入社者数が6位の東映アニメーションが19人。出産・育児と仕事を両立できるように産前の特別休暇制度、育児時短および補助金制度 、産休・育休中の給付、子の看護等休暇制度を拡充して女性の育児休暇取得率100%を実現している。

同じく入社者数8位は三菱電機系の技術商社のたけびしで18人。資格祝い金支給規定、自己啓発支援制度、業績表彰制度を設けるなど、従業員のインセンティブを高める制度が充実している。

定着率100%に届かなかった上位企業には、カカクコム(定着率96.3%、入社者数27人)、科研製薬(96.3%、27人)、アジア航測(96.2%、53人)、日本ドライケミカル(95.8%、24人)、ヨコオ(95.5%、22人)などが並んだ。

また、入社者数が多い企業には、137位のNSD(88.4%、129人)、111位のコーエーテクモホールディングス(91.3%、127人)、120位の建設技術研究所(90.8%、87人)、92位の名工建設(93.5%、46人)、127位の北川鉄工所(89.1%、46人)などがある。

これら新卒の定着率が高い中堅企業の特徴としては、残業時間が比較的長いなどのマイナス面を、それ以外の制度を設けることで補っていることが挙げられる。たとえばランキング上位の企業では、育児休暇や育児時短、資格取得の支援や社内公募制度を設けていることが多い。また独自の報奨制度を設ける企業も目立つ。大企業には規模で劣る中堅企業が新卒社員をつなぎとめることができるかは、働きやすく成長を実感できる環境を整えることがカギのようだ。

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