日経平均は「アメリカ・イラン戦争ショック」となるのか?23日以降の日本株にまったく弱気になる必要がない理由
もう1つ、日本株に対して弱気になる必要がない理由は、地政学的リスクに対するヘッジ売りが大きくたまっていることだ。
地政学リスクを「収益機会」として、積極的にポジションを取っているファンドは、多数存在する。一定の規模(例えば、発行済株式数の0.2%以上)を超える空売りポジションには報告義務があるが、それ未満の空売りは開示されない。先物やオプション、インバース型ETFなどを使ったヘッジ戦略は、表面的には「空売り」として見えにくい。彼らは下がれば益出しで買い戻す。
トランプ大統領がFRB(連邦準備制度理事会)のクリストファー・ウォラー理事を取り込むようにして、利下げ圧力を強めている割には、ドル安円高にならない為替も同じだ。すでに2025年春には、円買いポジションが過去最大水準に達したと報じられているように、為替市場では円買い(=ドル売り)という形でのヘッジがたまっているためだ。この「見えない空売り」が、本日23日だけでなく、今後の売り物をキャッチすると見ている。
株価のことは株価に聞くしかない
世界は、23日の日本株がどこまで下がるか見ているだろう。アメリカとイランの直接戦争に対して最初に反応するのが日本市場だからだ。
冒頭にも述べたが、「戦争をしていない大統領」がキャッチフレーズで、ノーベル平和賞(パキスタンが推薦第1号)を狙っていたトランプ大統領。「戦争の仲介」はしても、自ら「仕掛ける」ことだけはしないと思われていたトランプ大統領。多くの投資家の頭の中は大混乱だ。中国やロシアの介入の可能性なども考えたら、今後の予想は難しい。
激しい言動で、危ない大統領に見えたが、その結果は今のところ、極めて慎重な行動をとっているのと同じようなものになっている。外から見ると不思議なほどの支持率はそこにあるような気がする。FRBとの対立も、第1次政権下で指名したウォラー理事を味方に付けて、利下げ圧力を強めている。
しかも、来年11月の中間選挙に向かって順調な展開が予想されている中で、自らが戦争を始めるとは考えられなかった。もう、今後の株価のことは株価に聞くしかない。23日以降の日経平均が3万8000円前後で下げ止まれば、7月中にも4万円回復。もし5月23日の3万7160円を切ることになれば「しばらく調整」とシンプルに考えるだけだ。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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