静岡・長野の空白地埋める「国鉄新線」なぜ幻に? 「暴れ天竜」に架設された長く狭い人道橋の謎

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一方、天竜市は天竜川とそのダム湖をボートなど水上スポーツのフィールドと位置付けていたことから、その一環として第2天竜川橋梁の橋脚を活用した遊歩道を整備することに。人道用の橋桁を整備し、2000年4月に「夢のかけ橋」として開通した。周辺には道の駅(相津駅の旧予定地)やボート乗り場なども整備され、いまではちょっとした観光スポットになっている。

佐久間線 「夢のかけ橋」
橋脚だけ完成した第2天竜川橋梁に人道橋の橋桁を載せて「夢のかけ橋」になった(筆者撮影)

活用できず撤去された施設も

このほか、一部のトンネルはワインセラー(相津トンネルの相津寄り)などに活用されているが、交通路としては使われていない。築堤に至っては活用できておらず、船明駅の旧予定地付近に残っていた築堤は住宅開発に伴い撤去。山東駅の旧予定地付近の築堤も2024年ごろに撤去されている。

佐久間線 遺構 船明地区 築堤
船明地区の築堤は活用できず撤去されてしまった(筆者撮影)
【写真をもっと見る】建設は進んだものの開通せずに終わった佐久間線。そのルートをたどってみると、撤去された施設も多いものの橋脚やトンネルなどその痕跡はいたるところに残されている

佐久間線に限らず、時代や状況が変化しているにもかかわらず工事を続行し、結局は中止されて完成施設がうち捨てられた国鉄ローカル新線は全国にあまたある。一部の施設は有効活用されてはいるが、無駄なお金と時間を費やしたことには変わりない。「夢のかけ橋」はそのことを体現しているように思える。

現在、北陸新幹線・敦賀―新大阪間はルートの問題でもめている。建設費や並行在来線の扱いも解決しておらず、着工がいつになるのか、そもそも着工できるのか怪しくなってきた。ただ、着工して相当なお金をつぎ込んでから中止するのに比べたら、着工前に大もめにもめるのは健全な有り様ではないかとも思う。

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草町 義和 鉄道プレスネット 記者

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くさまち よしかず / Yoshikazu Kusamachi

1969年新潟県南魚沼市生まれ。鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』を運営する鉄道プレスネットワーク所属。鉄道誌『鉄道ファン』『鉄道ジャーナル』などでも記事を執筆。著書に『鉄道計画は変わる。』など。

 

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