折り紙付きの採用実績とは裏腹に、ワコムの業績は停滞している。
2021年度に130億円だった営業利益は、2022年度に20億円まで急落、70億円(2023年度)、102億円(2024年度)と改善しているものの、ピークの水準には届いていない。

2022年度以降に業績が急激に悪化した原因は明白だ。ワコムには、自社ブランド品事業とOEM供給事業の2つの主力事業があるが、このうち自社ブランド事業が赤字体質に陥っているのだ。
自社ブランド品はコロナ禍の巣ごもり需要で売上高が急拡大したが、コロナ禍の終息とともに売り上げが減少。利益率が高い液晶のないペンタブの売り上げが特に大きく減ったこともあり、利益率が低下した。
一方、OEM供給事業は韓国サムスン電子のスマートフォン「ギャラクシー」シリーズ向けや、中国のPC大手レノボ向けを中心に2022年度以降も安定した利益を稼いでいる。
回復の兆しが見えない自社ブランド品事業のテコ入れのため、ワコムの井出信孝社長はリストラに踏み切った。2024年度に同事業で200人前後の人員削減を実施、2025年度の営業利益で約20億円のコスト改善を見込んでいる。
コロナ禍のピークから大幅に業績が悪化したことで、株価も一気に下落した。2022年5月に1084円の高値を付けて以降、500円から700円台で推移し、足元では600円台後半で停滞している。
ファンドが指摘する3つの失敗
AVIが指摘するワコムの問題点は大きく3つある。
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