「誰かを傷つけない形で"遊び倒して"ほしい」あまりに有名になりすぎた《チー牛》イラストの男性"現在の姿"

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一方で、いびりょさんがイラストの作者として知られるようになると、対応に困ることも出てきたという。

「XのコメントやDMで、多くの人から反応がくるようになりました。『おい!チー牛!』とか、『チーズ牛丼食べに行きました。おいしかったです」』といった謎のものもありましたが、多かったのは『あのイラストのせいで、チーズ牛丼を食べづらくなった』というものでした。1件や2件であれば流せるのですが、結構数が多かったのでさすがにちょっと疲れてしまいました」

「イラストを使う人の良識に任せたい」

そして今、Xなどでは、イラストと「チー牛」というネットスラングが、一部の男性を揶揄したり、自嘲する際に使われるようになっている。「チー牛」を使った投稿が侮辱にあたるとして、発信者情報開示が認められたケースもあるそうだ。

いびりょさんは現在のネットの状況について、こう語る。

「あのイラストを描いた当時は、率直に、たまたま描いた自分の顔がイモくさくて、ダサいものだったという塩梅がよかったなと自分では思っています。でも、現在の使われ方として良くないと思うのは、イラストを利用して特定の人たちを悪く言ったりすることですね。

あのイラストをマスコットキャラみたいに描いている人もいました。その絵については賛否両論もありましたが、あのキャラクター自体をおもちゃにしてもらう分には、そういう文化は昔からありますし、もう笑うしかないというところまで突き抜けたユーモアがあればいいなと思います」

たとえば、「チー牛」という言葉に対抗して、ネットでは一部の女性たちを「豚丼」と呼ぶ人たちもいる。

「それも悪意のある使い方ですよね。男性と女性、マジョリティとマイノリティ、どの立場でも関係なく、自分が不快に思う相手を攻撃するのは嫌ですね」

今や、いびりょさんのイラストはネットで見ない日はないほど、多くの人々が使い、また二次創作もおこなっている。作者として、どう思っているのだろうか。

「もうネットミームとして流通してしまった以上、全部を管理するのは不可能だと思います。だからこそ、楽しく、賢く、誰かを傷つけない形で"遊び倒して"もらえたらうれしいですね。イラストの使い方が過激化したときには、ガイドラインを作ろうかと考えたこともありました。でも今は、使う人の良識に任せたいというのが、最終の着地点です」

2008年にネットに投稿された男性の自画像が、時を経て、2020年代のインターネット文化に深く根づいている。いびりょさんの体験と言葉は、ともすれば言葉の暴力が横行するネット空間に大きな気づきを与えてくれるのではないだろうか。

自画像
自画像作品(いびりょさん提供)

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