「玄関と裏口、わずか10センチ高低差まで表示」 精密すぎる≪地理院地図≫の実力とは?
5メートルという狭い間隔で標高データを採っているため、たとえば2万5千分の1地形図で1辺1センチの正方形(250メートル四方)には2500ものデータを含む。このため、100平方メートル(約30坪)の1軒の戸建て住宅であっても、標高データが4つほど得られる計算で、玄関と裏口の標高の違いさえわかるレベルだ。これだけの密度で標高データがあるため、詳細な立体模型(3D地図)などが作成できるのだ。
ただし一部の山奥などでは10メートルメッシュのみの部分もあり、その場合は標高数値の右側に「DEM10B」などと表示されている。5メートルメッシュともに最後に付いたアルファベットはA→B→Cの順で精度が高い。
県や市区町村の「境界」が未確定な地点はどう記す?
標高と同時に+印の地点の住所も表示される。地図の下部にある斜め右向き矢印をクリックすれば、「埼玉県比企郡嵐山町大字菅谷」などと、大字または町・丁目レベルまで表示してくれるのはありがたい。ただしカッコ内に「付近の住所。正確な所属を示すとは限らない。」とあるのは要注意で、これは市区町村によって境界未定地域で所属(大字・町レベルも含む)が確定できないなどの事情のためだ。
未確定区域は市街地から山林までさまざまで、全国各地に多く見られるが、最も有名なのは富士山頂付近だろうか。山頂である剣ヶ峯の東側は山梨と静岡の県境さえ未定なので、地理院地図では県名もなしで「―――」としか記されていない。また東京都心では千代田区と中央区の境界未定区域も知られている。
かつての外濠を埋め立てて建設された首都高速道路とその高架下の商店などは区の帰属が今も決まっていないが、地理院地図ではかつての外濠の中心付近を、便宜的に境界として千代田区有楽町と中央区銀座を暫定的に表示している。
なお、大字界が未定の場合や湖沼の水面などの場合は市区町村名のみが記される。また大字のない地域(市町村名の次に地番が来るなど)は、たとえば「岐阜県美濃市―」「長野県木曽郡王滝村―」などの表記だ。


国土地理院の敷地内でも、表玄関(A)と敷地内の別地点(B)では、わずかに標高(図中左下の赤囲み)が異なる。ちなみに地理院地図は初期表示からズームインしていくと、茨城県つくば市の国土地理院に行きつく。
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