≪山尾騒動にも言及≫玉木雄一郎「消費税の一律減税は、安定的な賃上げ環境を作る最善策」(前編)
塩田:「トランプ関税」で、日本経済にどういう影響が生まれると見ていますか。
玉木:一番、影響を受けるのは自動車ですね。それに鉄鋼。アルミは1回目のトランプ政権のときに関税がかかっていますけど、自動車にもかけられました。7月まで90日、延期した事項は、追加関税が上に乗るか乗らないかが問題ですが、自動車は発動されていますから、当面は自動車関連産業の対米輸出が売れなくなる。その対策が必要です。
国内での生産比率が高くて、北米市場への依存度が高いメーカーが大打撃を受ける。アメリカで売れなくなった分を、日本の国内需要の喚起で、国内で売れるようにする政策が必要で、それに一番効くのは消費税の一律減税ですよ。
「トランプ関税」へどう対峙?
塩田:「トランプ関税」での日本政府の対米交渉の進め方について注文がありますか。
玉木:戦略が見えないですね。日本の強みをしっかり出すことですが、日本の強みとは何か。石破茂首相も言っていますが、「日本は投資額や雇用創出効果が一番大きいから、もっとアメリカに投資する」「投資して造ったものを日本が受け入れる。輸入する」と。これはアメリカからの輸出カウントになり、貿易赤字が減る。
塩田:カナダでG7サミット(主要国首脳会議)と日米首脳会談が予定されていて、石破政権はそこまでは様子を見ようという姿勢のように見えます。
玉木:日本が一番先に交渉するというけど、日本は遅れるのではという心配はあります。一方、強みでは、投資して雇用を生んでいる。もう一つ、アメリカ国債をしっかり持っている。それを売れという話ではありませんが、アメリカのスコット・ベッセント財務長官もトランプ政権も困っているのは、長期の30年債や40年債のアメリカ国債の長期金利が上がったことです。それを恐れている。それで関税の引き上げ実施を90日延ばしたとも言われています。
今、日本は外為特会(外国為替資金特別会計)で 200兆円ぐらいの資金があり、これをほとんど10年債で持っていて、償還のたびに再投資しています。これを超長期国債に再投資していくと、買い手がつくから、金利が下がっていく。アメリカも非常に感謝する話です。日本の強みを活かしながら、長期金利も抑えたいという向こうのニーズにうまく合う形で絵が描けます。
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