≪山尾騒動にも言及≫玉木雄一郎「消費税の一律減税は、安定的な賃上げ環境を作る最善策」(前編)
塩田:今年、アメリカのドナルド・トランプ大統領の再登場で、「トランプ関税」が世界を揺るがせていますが、この政策を予想していましたか。
玉木:今年の1月、スイスで開かれたダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)に行ってきました。4月の「トランプ関税」の発表の前でしたが、トランプ氏は「自由貿易に背を向けて関税をかける」と、そのときから言っていました。ですが、まさかあんな高関税を世界各国に課すとは。それがまず驚きでしたが、90日発動延期を発表したのも驚きましたね。
巷間、言われているのは、高関税で輸入を抑え、輸出を増やす。アメリカの外に出た国内産業、特に製造業を国内に戻して、国内にもう一回、雇用を作る。それが表向きの理由でしょう。もう一つは対中国ですね。貿易の不均衡が非常に大きくなって、その結果、アメリカが中国の成長を助けることになり、それが潜在的な脅威になっている。米中の対立に対して、一定程度、牽制をかけたい、という狙いもあると思いますね。
トランプ大統領をどう見ている?
塩田:トランプ大統領は世界の貿易・経済体制をどうしようと考えているか、その点は。
玉木:アメリカが中心となって世界が戦後進めてきた自由貿易や多国間主義をつぶそうと考えている。自由貿易は全体として世界を豊かにしたけど、どうしてもひずみが生まれ、国内で、いわゆる勝ち組と負け組が生まれる。勝つ産業と負ける産業、勝つ地域と負ける地域、勝つ人と負ける人が出てくる。
負ける人が「プア・ホワイト」といわれる人たち、負ける地域が「ラストベルト」といわれる地域で、その絶望、不安、不満が選挙を通じてトランプさんを再び選んだ。だから、これは変わらない。この30年のグローバル化は、一部の人を豊かにしたけど、多くの人は貧しくなっているという問いに答えることができなければ、その国の政権は全部倒れていくでしょう。
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