新スタジアム効果でV・ファーレン長崎の観客数は2年前から倍増、1000億円投資で長崎を変える「ジャパネット流」地域創生
前述のとおり、ピースタは単なるサッカー専用スタジアムではない。ジャパネットが主導し、総事業費約1000億円を投じた認定民間都市再生計画「長崎スタジアムシティプロジェクト」によって整備された、最新鋭の大型複合施設の一角をなす。
サッカーやバスケットボールの施設、ホテル、商業施設に加えて、地上11階建てのオフィス棟「STADIUM CITY NORTH」もある。長崎大学情報データ科学部のキャンパスも入居したといい、多くの人が日常的に集まれる場所になっているのだ。

目指したのは欧州ではなく“意外な球場”
髙田氏は世界最高レベルのスタジアム作りへの強い思い入れを次のように明かす。
「この施設を作るに当たって、『(試合時間の)2時間で4000円払う』という感覚を『6時間で1万円払う』という感覚に切り替えたいと考えていました。東京ディズニーランドに出かける場合でも、『1日中楽しめるから1万円以上払ってもいい』と考える人が多いですよね。
『スポーツをエンタメ化したい』というコンセプトを念頭に置いて、欧州からアジア、アメリカなど世界各国を回り、30くらいの施設を視察しました。そこで感じたのは、サッカーの場合、イングランドやイタリア、ドイツといった本場になればなるほど『サッカーで勝負』という考え方が根強いということ。スタジアム周辺はそこまで施設が充実してないことが多いんです。
ドイツのシャルケのフェルティンス・アレーナでは地下でビールを製造して、『これはいい。われわれも作りたいな』と感じたりはしましたけど、やはりアメリカ・メジャーリーグのボールパークやアイスホッケーのアリーナのほうがエンタメ要素が多分に含まれていた。サンフランシスコ・ジャイアンツも非常にいい雰囲気で、参考にさせてもらいました。いろいろなスタジアムのいい部分を集めて作った感じですね」
アットホームな雰囲気を作るべく、アウェーサポーター席を柵で囲うこともあえてしなかった。欧州の場合、熱狂的サポーターが集結すれば激しいバトルが起きないとも限らないが、何かを禁止するよりも、自由に楽しめる空間を大事にして、必要があれば緩衝帯を設けるといった対応を取ればいい。それが髙田氏の考え方なのだという。
明るくのびのびとした空間が多くの人々に受け入れられたのか、V・ファーレンのJ2公式戦の観客数だけでなく、長崎スタジアムシティ全体の来場者も日に日に増えている。
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