「ご飯の食感が違いますね」→「横浜と姫路を新幹線で10回近く往復」 万博で話題「老舗駅弁3社」のコラボ出店、実現までのアツい背景

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近年は他社と協業での展開を盛んに行い、2025年2月には名古屋・松浦商店(名古屋駅弁。1922年創業)、花善(秋田・大館駅弁。1899年創業)と合同で、スイス・チューリヒ中央駅で駅弁を期間限定販売。

各日とも早々に売り切れすぎて、逆にお叱りを受けるほどに好評であったという。

老舗駅弁3社コラボレーション
「老舗駅弁3社コラボレーション」ブース。外食パビリオン「宴(うたげ)〜UTAGE〜」にて(筆者撮影)

一方で、峠の釜めしの「荻野屋」高見澤志和社長、シウマイ弁当の「崎陽軒」野並晃社長と竹田社長は、3人とも慶応義塾大学の卒業生ということもあり、やりとりはあったそうだ。

そして、「関西シウマイ弁当」の共同開発の構想が持ち上がったのが、コロナ禍による外出自粛で世間が暗いムードに包まれた2020年のこと。

ほかの駅弁業者と同様に売り上げの激減・経営上のダメージを受けた「まねき食品」は「ソーシャルディスタンスを確保したドライブスルー駅弁店」出店などを行いつつ、業界そのものを活性化させる打開策として「シウマイ弁当」とのコラボレーション企画を考案した。

崎陽軒の妥協なき姿勢、発売まで試作を重ねる

しかし「シウマイ弁当」と言えば、駅弁業界以外にも知名度が高いロングセラー商品でもある。こういったコラボは前例がほぼなく、崎陽軒との社長同士の交渉も難航する。

ようやく共同開発の話が進み始めたあとも、ご飯の食感(シウマイ弁当は蒸気炊飯、もっちりした食感が特徴)などで何度も崎陽軒から厳しい意見を受け、納得してもらうために商品を持ち、横浜と姫路を新幹線で7~8回は往復したという。

「関西シウマイ弁当」は、2021年11月にようやく発売に至る。この頃には緊急事態宣言が解除されていたこともあり、姫路駅の店舗には多くの人々が行列を作り、「関西シウマイ弁当」を買い求めた。

なかには全国各地の駅弁ファンだけでなく、「地元の『まねき食品』が、面白いことを考えた!」とばかりに、入場料を払ってまで駅に集結する姫路市の人々の姿も目立ったという。

この際に培った、コラボレーション商品を製作するノウハウは「関西峠の釜めし」開発にも生かされた。「まねき食品」の万博出店が決まった1年前から構想を立て、サンプル商品を持って群馬県との間を何度も往復、開発に至ったそうだ。

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