「若手と話が通じない」のハードルを乗り越えるためにすべき事――「よい対話」を実現するために必要なマインドセット5つ

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そのためには、どうしたらよいのでしょうか。

人の話を「聴く」ためには「訊く」ことがポイントになってきます。この意味での「訊く」は「尋ねる」「問いかける」という意味です。「訊く」ためには「聴く」がないといけませんし、「聴く」ためには「訊く」ことがなければいけないわけです。

最も優先順位が低いのは話すこと

逆にいうと、話すことは、実は対話において「最も優先順位が低い」といっても過言ではありません。それどころか、私自身も「対話では話さなくてもいいですよ」と言ってしまうことがあるくらいです。

コミュニケーションなのに「話さなくてもいい」と言われると、どうも変な感じがするかもしれません。しかし「話すこと」に意識が向いてしまうと、しばしば私たちは自分の考えにとらわれるようになってしまうのです。

統計やデータで話さない第5のマインドセットは、「自分の経験にもとづいて自分の言葉で考えること」です。

対話では、その場にいる人たちの経験にもとづいて考えることが大切です。言い換えれば、その場にいる人たちの言葉によって確かめられることを話すように心がけるといいでしょう。

たとえば、その場にいない人の心理を推測して話したり、伝聞をもとに話を広げていったりすことは、あくまで「居酒屋談義」の範囲であれば、楽しいこともあります。

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しかし、対話において「あの人はきっとこうだ」とか「こういう話があるって聞いたんだけど」と、その真偽や妥当性を経験から考えられない問題を扱っても建設的でないことがしばしばです。

なぜなら、対話においては、その場にいる私はどう考えるのか、あなたはどう感じているのかが、より優先される問題だからです。

ですから、伝聞はもとより、受け売りの言葉や価値観、統計やデータを使って話すのではなく、自分の経験にもとづいて、自分の言葉で考えてみてください。変に理論武装してみたり、取りつくろったりする必要がないわけですから、実は対話とは、とてもシンプルなもののはずなのです。

このシンプルなことがなかなか難しいのですが、いま一度「ある言葉や考えを自分の経験や感覚から、普通の言葉で言い直してみると、どうなるのか」「自分の立場から見ても本当にそうだと言えるのか」と確かめてみることが大切です。

堀越 耀介 東京大学UTCP上廣共生哲学講座 特任研究員

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ほりこし ようすけ / Horikoshi Yosuke

1991年生まれ、東京都出身。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。学術的な知見と、5000人以上に対する対話のファシリテーションの経験を融合させ、企業が課題解決や価値創造に取り組む活動を支援している。NECソリューションイノベータ株式会社、三井不動産株式会社、株式会社SBI新生銀行、株式会社LegalOn Technologiesをはじめとする多様な企業に対して、「哲学」と「対話」によって組織の潜在能力を最大限に引き出すコンサルティングを実施。株式会社ShiruBeでコンサルタント/上席研究員を務め、株式会社電通と研修プログラムの共同開発をおこなうなど、活動の場を広げている。著書に『哲学はこう使う――問題解決に効く哲学思考「超」入門』(実業之日本社)。『Forbes JAPAN』をはじめ、各メディアでも幅広く活躍する。

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