「部下と話が噛み合わない」と悩んだら試したい”哲学的思考”――職場のコミュニケーションを有効なものにするための3つのアプローチ

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しかし、論破は相手の主張のあらを探して「ただ解体して終わり」なのに対して、批判は「何とか新しいことを発見しよう」「何か新しい知を構築しよう」という意志をもって考えることです。

哲学的な思考は批判的であるだけでなく、創造的な側面を持っています。ここでいう創造とは、「これまで見えていなかった側面が見えるようになること」です。

そのため必要なことは、これまでの見方を疑うこと、つまり、批判することです。論破に陥らずに、批判的に考えていくことによって、新しい見方を創造することができるのです。

たとえば、先ほどの「蛙の子は蛙」の例では、「これは本当に普遍的な真実といえるのか?」と問うことから、どのような条件下では子どもが親と似たものとなり、またどのような条件下ではまったく違ったものとなるのかを捉えられるようになります。

また「そもそも、子が親を超えるとはどういうことか?」と問うことで、たとえば、特定の職業を偉大なものだと捉える自分のバイアスに気づくことができ、価値観を変えるきっかけになるかもしれません。

このように、批判によって新たな側面を発見することが、イノベーションのきっかけとなり得るのです。

知りたいという気持ちが重要

哲学的な思考の3つ目の側面は「関心にもとづいて考えること」です。実は、哲学的な思考を考えるうえで、この側面が最も重要だといっても過言ではありません。

私たちはどこかに行きたい、仕事で成功したい、モテたいといったふうに、何かを知りたい、何かを成し遂げたいと思って生きています。この何かに向かう姿勢が「関心」です。

哲学もそのような態度の延長線上にあります。たとえば「仕事で成果を出したい」という関心を持っている人が、批判的に考えて「そもそも成果とは何か?」「上司が決めた数値目標を達成することが成果を出すことなのか?」と問うとき、哲学的な思考が始まります。

その基盤には常に「関心」があるのです。

ここで重要なのは、関心は変化していくということです。最初は成果を出すことにしか関心がなかった人が「成果とはそもそも何なのか?」という問いに関心を持つようになります。

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