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「基礎年金の底上げに厚生年金の積立金を流用するのか」と憤る人が知らない未来予想図…低年金の高齢者が生活保護を受ければ税負担は高くつく

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  • 土居 丈朗 慶應義塾大学 経済学部教授
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ただ、厚生労働省内でも、生活保護制度は社会・援護局、公的年金は年金局と縦割りになっており、生活保護給付の将来推計を公式に示されたことがない。政府は両制度で必要な将来の税負担を整合的に示すことが求められる。

今通常国会で審議されている年金制度改革法案に盛り込まれた基礎年金の底上げ案は、成立すれば必ず実施されるというものではない。2029年の次期財政検証で基礎年金と報酬比例部分のマクロ経済スライドの調整期間に著しく差異が生じた場合に必要な法制上の措置を講じるという規定となっている。

経済成長ケースなら底上げ不要

2024年の財政検証における成長型経済移行・継続ケースでの所得代替率は、基礎年金2人分は2037年度までマクロ経済スライドが発動されて32.6%に、報酬比例部分はマクロ経済スライドは一切発動されず25.0%になり、両者合わせて57.6%となる見込みである。

このように、過去30年投影ケースよりもよい経済状態で推移して成長型経済移行・継続ケースに近い経済状態になり、このような所得代替率ならば、前述したような基礎年金の底上げ案を実施するまでもなく、それなりの所得代替率を維持できる。

もちろん、年金財政に関して楽観は許されるわけではないが、公的年金制度と生活保護制度を横断的に見通しながら、老後の所得保障の仕組みを考えていくことが必要である。

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