松井・JCB連合の参入で大手5社の総力戦に、赤字でもやめられない「クレカ積立」地獄の消耗戦

新NISA(少額投資非課税制度)のスタートを契機に、個人投資家の資産形成はかつてないほどに活発化している。そんな中、インターネット証券業界で熱を帯びているのが「クレジットカード決済による投資信託の積み立て」だ。
今年5月には、松井証券がJCBカードとの連携で「クレカ積立」を開始。これにより、大手ネット証券5社がすべてクレジットカードを用いた積み立てサービスを実施することになった。
一見すると、ユーザーにとっては手軽で、ポイントも貯まるお得なサービス。だが、その裏には事業者側にとっては赤字を前提とした構造が潜んでいる。
華々しく口火を切った楽天グループ
2018年、楽天証券が楽天カードと連携して開始した「クレカ積立」は、ポイント1%還元という高還元率で一気に注目を集めた。ユーザーにとっては、投資信託の購入だけでポイントが貯まるという画期的な仕組みだった。
しかし、証券会社側の収益構造は厳しい。多くの投資家が購入している低コストなインデックスファンドでは信託報酬が0.1%未満のことも珍しくない。1%近いカード決済手数料を証券会社が負担することで、積み立て単体では確実に赤字となる。
ある関係者は「加盟店手数料を0.5%程度まで下げたとしても、『クレカ積立』だけでは10分の1も取り返せない」と打ち明ける。
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