ダイソンの「最薄・非サイクロン掃除機」すごい革新の中身→驚異の小型・軽量化を実現した78歳創業者が込めた“2つの狙い”とは

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掃除機以外にもダイソン社は、熱に頼らないヘアカーラーや羽根のない安全な扇風機など、従来の家電を再定義するような革新的な製品を市場に投入してきた。スタイリッシュなデザインと相まって消費者からの支持を集め、高価格にもかかわらず多くのヒット商品を生んでいる。

コモディティ化が顕著な家電業界において、ダイソン製品のコンセプトやデザインに追随するメーカーは数多い。これに対してダイソン氏は「学生のころ、他者のまねをしたら退学になると教えられた。模倣は競争を生むという人もいるが、逆だ」と強く批判した。

今後の夢として「どんな掃除機を作りたいか」と問われたダイソン氏は「より小さく、より効率的。やりたいことはそれだけだ」とだけ語った。

ダイソンが向かう先

ダイソン社(非上場)の業績を見ると、2023年度の売上高は71億ポンド(約1兆3750億円)と過去最高を記録した。

2021年度からの3年間で、研究開発などに投じた長期投資は20億ポンド(約3800億円)。バッテリーやロボット、AI分野に投資をし、フィリピン、シンガポール、イギリスでは史上最大級の資金を先端分野に投じているという。

当社は2014年にEV開発に着手したが、5年後に断念。開発に必要な技術は持っていたものの、後発組でマーケットに十分に参入できず、商用化にこぎ着けなかった。ただしEV開発と同時に進められてきた次世代電池は、開発が続いているとされる。

伝統に沿わなくても、必要な技術を持っていればものづくりはできるという姿勢を貫いてきたダイソン氏。強みとするデジタルモーターをはじめとしたコア技術も、開発当初の知見はゼロだった。

試行錯誤を繰り返し、利益を出せるモーターの開発までに10年。モーター開発全体では、すでに約20年をかけてきたとインタビューで語った。そのうえで「もう20年経てば、今よりさらに小さいモーターが作れるかもしれない」と、御年78歳のダイソン氏は笑顔で語った。

徳田 菜月 東洋経済 記者

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Natsuki Tokuda

電子部品業界を担当。東京大学文学部卒業、2025年東洋経済新報社入社。中学2年生まで4年間をアメリカ・デトロイトで過ごし、大学時代は硬式野球部のマネージャーとして駆け回る。緑が好きで、ガジュマルを育てようか検討中。

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